2024年9月4日水曜日

イーグル自転車

 イーグル自転車

下の図はイーグル自転車の広告

私は1991年にオハイオ州のフィンドレー大学でこの自転車に乗った経験があるが、オーディナリーと違ってその乗車方法は簡単ではなかった。下車するときも難しかった。
しかしながら何回か乗車経験をすればこの自転車にも慣れると思われた。オーディナリーとは、また別な楽しさが体験できるはずである。

イーグル自転車 '89 年製

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職人技、仕上げ、素材の品質において、他に類を見ないものです。
「イーグル」が展示された場所ではどこでも、熱狂的に受け入れられました。
「普通」のすべての利点と「安全」の多くの特性を兼ね備えています。トラックでも道路でも、スピードでは他の追随を許しません。坂を登るのにも適しており、惰性走行でも完璧に制御できます。

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イーグル バイシクル マニュファクチャリング カンパニー、コネチカット州スタンフォード。


361頁
The Wheel and cycling trade review 
 1889年1月4日号


註、イーグルは、コネチカット州スタンフォードのL.B.ゲイローが考案し特許を取得。明らかにこの自転車はオーディナリー(ダルマ自転車)を前後逆にしたようなスタイルである。この形も実は安全型自転車への一つの試みから生まれた。オーディナリーは急ブレーキをかけたり、下り坂で石に躓いたりすると、前方へ飛ばされて頭を強く打つ危険性があった。このような事故が多かったために、この自転車のことをヘッダーというあだ名まで付けられたほどである。
 イーグルは、前のめりで倒れる事故はなくなるが、逆に仰向けに倒れる事故が多くなる。どうしても重心が後輪側にくるので、それだけ後ろに倒れる危険が増す。
 イーグルは、乗っていて楽しい自転車だが、乗るのにかなり練習が必要になる。オーディナリーの場合は、バックボーンの後輪上部に乗車時に使用するステップが、左側にとりつけられているが、イーグルにはない。それではどのように乗るかと云うと、まず後輪の前に立ち、手を伸ばしてハンドルを手前に引き寄せる。そうすると当然ながら前輪は立ち上がり、ちょうど空に向けられたような格好になる。そうすることによってサドル位置が体の前にきて、この状態から一気にサドルに跨り、ハンドルを手前に強く押し出す。このときブレーキをかけていないと車輪が前に動いてしまい乗車に失敗する。慣れるまでかなり練習が必要である。たしかに難しい乗り方であるが、この辺がこの自転車の魅力の一つでもある。まるで曲乗り(トリックライディング)のようでもある。乗車中はなるべく体を前にかがめる。上り坂は特に重心を前にもっていかないと後ろに転倒し後頭部を強打することになる。サドルから腰をうかせ前かがみになり力強くペダルを踏む必要がある。下車方法は、サドルからポンと飛び降りるか、乗るときと逆な方法で降りる。ハンドルを引き上げて、重心を後ろに移動させ、前輪が上に向いたころあいでうまく降りる。
 いずれにしてもイーグルは、楽しい反面、危険と不安が初心者につきまとう。私の場合は、慣れる前に帰国したので、怖かった記憶のみ残っている。
 ところで明治時代にこのイーグルやスターは、日本に輸入されたのであろうか。いまのところ、この時代に日本人が乗っていたという形跡はない。
 

この写真は、1991年6月28日にオハイオ州のフィンドレー大学構内で撮影したもの。この大学を中心に、第11回国際ベテランサイクルラリーが開催された。イーグルに乗っている男性はザ・ホイールメンのメンバーの一人。