2025年7月29日火曜日

スティーブンスの日本旅行記 パート2-27

 スティーブンスの日本旅行記 パート2-27

青い海に船が点在している。

村や茶屋が、何マイルも先の三日月形の海岸沿いに点在している。そこには、雄大な雪を頂いた富士山が山頂から海へと優雅に傾斜している。三日月形の湾を巡り、興津、由比、蒲原、岩淵といった海岸沿いの村々を通り、大きく優雅に広がる円錐形の山の麓にある小さな町、吉原へと続く。実に素晴らしいサイクリングだ。この辺りの海岸線は、そこから見える富士の独特の美しい景色から、日本の詩歌の中で「田子の浦」と云われている。

この驚くべき山は日本最高峰であり、おそらく現存する円錐山の最も優れた例と言えるだろう。地元の伝説は、この山をロマンティックな光で包み込んでいる。その起源は京都近郊の琵琶湖の形成と同時期とされ、山と湖は一夜にして形成された。一方は標高12,800フィート(3775.56メートル)の平野から隆起し、もう一方は海面に達するまで沈んだのである。

富士山の山頂は、悟りを求めて山頂に登った役行者に倣い、「完全なる平安」を得たいと願う日本の修行僧などの巡礼地である。正統派の日本人は、巡礼者の草鞋から落ちた砂粒が、夜の間に自ら再び山頂に登ると信じている。

さらに、伝説によると、六十五日目の数時間、山から雪が完全に消え、翌夜には再び降り始めるとも信じられている。かつて活火山であった富士山は、今でも山頂付近の様々な割れ目から水蒸気を噴き出しており、いつの日か吉原や近隣の村々の善良な人々に、その力強い感覚を鮮やかに感じさせるだろう。富士山は日本人の特別な誇りであり、その美しさは日本の美意識に強く訴えかけている。詩人は富士山について歌っている。

「大いなる伏山よ、天にそびえ立つ!汝は人間に与えられた宝、日本を見守る守護神、汝に永遠に目を奪われよう!」

富士山を過ぎ去り、吉原から16マイル進むと、今夜の目的地である三島に到着した。


466頁

237 頁 
特徴的な山の近く 
「アウティング」誌 第12巻 4月~9月
 1888年(合本版)

岩淵 東海道
明治期の写真