2025年6月25日水曜日

スティーブンスの日本旅行記 パート2-10

 スティーブンスの日本旅行記 パート2-10

村の粋な人は皆、ヨーロッパの服に憧れるものだ。そのためか、道を行くと、ダービーハットをかぶり、赤い毛布を羽織り、ぴったりとした白いズボンを着て、わらじを履いた男たちによく出会う。ヨーロッパの帽子やコートを羽織った村人は、まるで私がそれを気に入っていることを内心で意識しているかのような、愉快な自己満足の表情を浮かべて私の居る宿屋にやって来る。一方、ヨーロッパからの旅行者は皆、和服から洋服に変わることを嘆く。

大きな運河沿いをしばらく進むと、今夜泊まる福間村に着いた。ここの宿屋は隅から隅までピカピカである。しかし、宿屋の主人がどうやって商売をし、これほど清潔な部屋を維持しているのかは、不思議でならない。宿屋の決まりは、到着した客がまず湯に浸かり、その後、小さな火鉢のそばにしゃがみ込み、夕食の時間まで煙草を吸いながらおしゃべりすることだ。日本人は他のどの国の人々よりも湯浴みに熱中している。彼らは45度(華氏140℃?)に温められたお湯に浸かる。これは「イギリス人」や「アメリカ人」にとっては全く耐えられない温度だが、徐々に慣れていく。男女ともに毎晩、定期的に熱い風呂に浸かる。日本人はヨーロッパ人との付き合いからまだそれほど多くの「mauvaise honte(正気の沙汰ではない)」を吸収していないので、男女問わず浴槽に頻繁に入り、まるで皆が小さな子供のように互いに気を配らない。「浴槽の波間に戯れるビーナス」は、日本の旅館の日常風景だ。ヨーロッパ人の観光客が、服を脱いで浴槽に入っていくのを見ようと日本人が群がることに、なぜ反対するのか、彼らには全く理解できない。彼らはただ、肌の白さ、独特の脱衣の仕方、そして一般的な好奇心からだ。彼らは入浴を見守ることに、何の抵抗も感じていない。では、なぜ心の中で萎縮し、彼らを追い払わなければならないのか?

旅館の通常の食事は、ご飯、様々な魚、カリカリの生カブの小片、漬物、ケチャップのようなソース(醤油)で構成されている。肉は、特別に注文しない限りほとんど出ない。もちろん、その場合は追加料金がかかる。日本酒も購入する必要がある。


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福間駅付近
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