2025年8月16日土曜日

明治期の自転車

 明治期の自転車

下の写真の自転車は明治30年代のものであろう。

出典は、「天まではねろ―磯村春子の生涯と信仰」横山麗子 (著) 1988年11月1日発行
自転車が登場する本文には、

明治三十六年一月八日、愛知県西春日井郡平田村二百六十一番地、戸主磯村善三郎弟源透婚姻、同月十二日受付除籍
しかし、これは婚姻届がこの日に提出されたのであって、結婚はもう一年さかのぼった明治
三十五年と思われます。というのは、明治三十六年一月三日が、長男英一氏の誕生日だからです(戸籍は一月十日出生)。
当時は、婚姻届がたいへん遅くなるケースもよくあったようです。また当時の戸籍謄本は和紙に毛筆で書かれ、和紙が薄くて次のページの字がすけて見えるし、壹とか貳とか拾とか、難しい字が細字の手書きで書かれているので、判読しにくいのです。
わずかの資料に、いろいろ周囲の状況をからませて推測しますと、宮城女学校の火事(明治
三十五年三月八日)の直後に、ハルは結婚したものと思われます。
当時の源透の写真が一枚残っています。自転車に乗った超モダンなハンサムボーイといえま
す。ここに掲載されているのが、その写真ですが、あるいはこれがお見合いの写真だったのかも知れません。最先端を行く、翔んでる女性のハルは、この写真を見て一目ぼれをした可能性も考えられます。・・・

67頁の写真

註、この写真の自転車をよく見ると、明治30年代の特徴が不鮮明だが見られる。
前ブレーキが見当たらない。タイヤを押すタイプでもない。コースターブレーキか?
左は前泥除けなし。右側はホークから後方に泥除けあり。
不鮮明でまったくヘッドのマークが分からない。恐らくデートンか何かの米車と思われる。
空気入りの太いタイヤ。アップハンドルの形状とベル。
撮影場所は写真館のスタジオか?

磯村源透(いそむら げんとう)は、明治期から大正期にかけて活躍した実業家であり、NHKの朝ドラ『はね駒(こんま)』の登場人物・小野寺源造のモデルとなった人物である。
妻の春子は女性新聞記者の草分けである。