2025年7月27日日曜日

スティーブンスの日本旅行記 パート2-26

 スティーブンスの日本旅行記 パート2-26

四つん這いで近づいてくる男が私の注意を引き、剃った頭を偶然、私の部屋のドアの角にぶつけてしまった。彼は入り口で立ち止まり、自分の体をつねったり揉んだりするパントマイムをした。彼の使命は、私がサービスを望んでいるかどうかを知ることである。少額のチップで、日本の盲目の按摩師は、頭から足まで心地よい感覚になるまで揉み、押し付けてくれる。この仕事は目の見えない人か老婆にしかできない。多くの日本人は風呂に入った後に彼らのサービスを受け、その施術がとても心地よく、有益だと感じている。

日本の模倣の最も面白い例の一つは、ほとんどすべての村の宿屋の壁を飾るアメリカ製の時計である。面白いのは、これらの時計の持ち主は、それが何のためにあるのか全く理解していないように見えることだ。私の宿屋の壁の時計の一つは11時、もう一つは9時半、そして朝私が出発すると、3つ目は7時15分を指していた。村の通りにある他の時計も同様に時刻が異なっている。村々をダルマ自転車で走りながら、これらの大きく異なる時計に注意を払うことは、今日のサイクリングの楽しみの一つになっている。

坂ノ下から美しい渓谷と松に覆われた山々を抜け、四日市まで、道は平均して良好だが、ところどころで多少の起伏がある。四日市は小さな港町で、東海道沿いのほとんどの旅行者は、ここから往復する蒸気船で宮へ向かう。しかし、車道はさらに10マイル先の桑名まで続いており、そこから宮へは、水田、堤防、運河、沼地などの平坦な狭い道を横断しなければならない。

岡部と宇津ノ谷峠を越えると、1、2マイルはゆっくりと進む必要がある。ここに長さ約600フィート、幅12フィートのトンネルがあり、両側の入り口にある簡単な反射板によって、わずかな日光がトンネル内に差し込んでいる。これらは単なるガラスの鏡で、光線をトンネル内に反射するように斜めに設置されている。

この小さな峠を下ると、東海道は平坦な水田地帯を横切り、安倍川を渡り、人口3万人の静岡市の海岸付近に近づく。すぐ先に見える富士山の眺めは実に美しく、平坦な道は砂利の浜辺に沿って進む。波は寄せては引いて、時を刻んでいる。


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宇津谷隧道
Googleストリートビュー
以下同じ



註、宇津ノ谷隧道について
明治宇津ノ谷隧道は、 明治9年(1876年)に開通した有料トンネルだった。
レンガ造りの趣のあるトンネルで、文明開化の象徴とされている。
  明治29年の失火で一部が焼失した後、明治37年(1904年)に再建された。
国の有形文化財に登録されている。
場所は、静岡県静岡市駿河区宇津ノ谷と藤枝市岡部町に位置している。