2022年1月8日土曜日

ラントン車の改良型

 ラントン車の改良型

会報”自転車”№ 71 (1993.7.15)で、ペイトン&ペイトン社のラントン(1868)と改良型バイシクル(1869)の広告を掲載した。

日本に最初に登場した手足駆動方式の自転車はこのペイトン&ペイトン社か或いはランサム氏(Messrs.Ransome)が改良した三輪車であった。

ラントン車は、英国のジョセフ・グッドマン(Joseph Goodman)が1863年に開発して特許を取得。1864年にアメリカでも特許を取得している。その後、バーミンガムにあったペイトン&ペイトン社が製造販売してからは、イギリス本国をはじめ当時植民地化したインドなどでも便利な乗り物として利用された。

そしてその中の1台が日本の土を踏んだのである。

下の画の二輪の改良型ラントン車については、6項目の効能書きがある。
通常の自転車(ミショー型)と比較した場合の利点として(意訳)
1.速力の増加により、荒れた道でも容易に進むことができる。
2.後輪駆動のため、腕や肩に負担がかからない。
3.サドルの代わりに安楽席があり、乗り易い。
4.脚は歩行に似たように自然な動作になるため疲れない。また、ガイドホイールの動作によって怪我をする危険性も少ない。
5.取扱いが簡単で、いつでも補助者の必要がなく乗ることができる。坂道でも支障なくスタートできる。
6.乗り降りが簡単で、容易に習得できる。

などとあるが、どう見てもこの形状と駆動方式では、相当練習しないと乗れそうにない。
その後の展開を見るとミショー型に軍配が上がっていることでも分かる。

なお、この自転車は以前に紹介したピアスの改良型ベロシペード(1869年製作)にもよく似ている。
ピアスの改良型ロシペードはイギリスのグレートサフォーク通り7番に住んでいたピアス氏により製作された。年代も同時期であった。

この広告の下部にはラントン三輪車の価格も掲載されている。
ペイトン&ペイトン社製造の「ラントン」三輪車
1869年9月23日、水晶宮でのベロシペード国際レースで銀メダルを獲得。

価格
青少年向けの駆動輪、直径2フィート6インチ 8ポンド8シリング
大人用駆動輪、直径3フィート 10ポンド10シリング
大人用駆動輪、直径3フィート6インチ 12ポンド12シリング
アプリケーションの取引に関する条件
1869年10月30日

とある。


ペイトン&ペイトン社の広告
1869年10月30日

英国のジョセフ・グッドマンが
1863年に特許を取得

ピアスの改良型ベロシペード
1869年