スティーブンスの日本旅行記 パート2-14
丘陵地帯の小さな沖積の谷に点在する無数の町や村を結ぶため、内陸に1、2マイルほど伸びる道が作られた。ある大きな村を通り過ぎると、書店の上に掲げられた「英語の本」という看板が目に留まった。神戸への道案内のようなものを買おうと思い、少なくとも英語を理解できる人がいるだろうと期待して店に入った。店の若い男性は英語を一言も話せず、置いてある「英語の本」は小学生向けの入門書やスペルブックなどであった。
下関の村々の建築は、驚くほど芸術的である。趣のある切妻屋根の家々は雪のように白く塗られ、奇妙な模様の茶色の釉薬瓦が屋根に葺かれ、これも白く縁取られている。家々の周りには、コウノトリや動物、魚などを模して刈り込まれた生垣、小さなオレンジや柿の木、可愛らしい花壇、そして日本特有の小さな造園用の置台が点在している。小さな谷を抜け、小さな岬を越え、海岸沿いの平坦な砂利道が続く道を30マイルほど走り、やや大きな村に到着した。
今晩の客人の中に、光沢のあるトップブーツ、ぴったりとしたコーデュロイのズボン、そしてジョッキーキャップを身につけた若い紳士がいた。その風貌は、私がここ何日か見た中で、最も「馬好き」と思われる人物だった。プロの騎手であろうことは容易に想像できる。しかし、おそらく彼は生涯一度も馬に乗ったことがないだろう。彼はロンドン・グラフィック誌を見てこのスタイルの洋服に夢中になり、横浜からその服を調達するために多大な苦労と経費を使い、今や故郷の田舎の人々を驚かせ、その風貌から「最高にカッコいい」と云わせているのだろう。彼はダルマ自転車に並々ならぬ興味を抱く様子である。そこから推測すると、彼は西洋のスポーツのある種の概念を実際に吸収しており、したがって理解力のない同胞の前では、スポーツの達人として振る舞いたいと願っているのだろう。全体として、この馬好きの若い紳士は、私がこれまで出会った中で最も驚くべき「新しい日本人」の代表例である。
冷たい霧雨が降り、次の日の旅の始まりである。