スティーブンスの日本旅行記-㉑
宮のメインストリートに入ると、重要な寺院の正面には長い石灯籠の列が目印となっている。どの家も、大きな日の丸の旗、提灯、紙製の魚など、何らかの宗教的な祭りの象徴が掲げられている。
大井川の急流には、長さ1マイルほどの脆い木橋が架かっており、金谷の町を過ぎてから渡る。そこから東海道は島田、藤枝、そして平地へと起伏のある道を進み、岡部へと続く。午後は度々雨が降り、道も丘もびしょ濡れになった。薄いゴム長靴を履き、土砂降りの中を岡部に到着したが、今日はこれ以上進むことは不可能だった。岡部は貧しい村で、宿屋も同様に貧弱だ。普段は良い魚さえ手に入らず、主に革質でロブスターのような風味を持つヒトデが売られている。
「魚介類」と、人形のような女給は、この奇妙な料理の正体について私が尋ねると、愛嬌のある笑顔と、彼女だけが持つ謙虚な敬意をもって答えた。海や湖、川の深海から採れるものは何でも「魚介類」と名付けられているようだ。
岡部と宇津ノ谷は1、2マイルの長距離移動が必要である。ここには長さ約600フィート、幅12フィートのトンネルがある。トンネルの入り口には簡単な反射板が設置されており、そこからわずかな日光がトンネル内に差し込む。反射板は単なるガラスの鏡で、トンネル内に光線を反射させるように斜めに設置されている。
この小さな峠を下ると、東海道は平坦な水田地帯を横切り、安倍川を渡り、人口3万人の静岡市の海岸に近づく。すぐ先に見える富士山の眺めは、実に美しい。平坦な道は、まるで波に洗われたかのような砂利の浜辺を縫うように続く。波は、音に合わせて寄せては引く。青い海には船が点在し、何マイルも先まで続く三日月形の海岸沿いには、村や茶屋が点在している。雄大な雪を頂く山頂から海へと、富士山が優雅に傾斜している。
三日月形の湾を巡り、興津、由比、蒲原、岩渕といった海岸の村々を抜け、優美に弧を描く大きな富士の裾野に抱かれた小さな町、吉原へと続く、実に素晴らしいサイクリングである。この辺りの海岸線は、そこから眺める富士の独特の美しさから、日本の詩歌の中で「田子の浦」として讃えられている。