ニューサイ 第14号
月刊雑誌「ニューサイクリング」第14号 1965年4月1日発行より、
10スピード自転車特集
10スピード車の歴史と現状
A ディレイラーの発明と 10スピードへの発展
① ディレイラーの発明と歴史
自転車用のチェンジギヤに、第16図のようなハブギヤと第17図のようなディレイラーのあることはよく御存知のことでしょう。
ところでハブギヤはその遊星歯車構造の基本原理のために、どうしてもギヤ比のちがい (これはステップと呼んでいますが)を小さくすることがむずかしいためと、構造上4スピード以上のものは構造が複雑で、高価になるため、ここでとりあげているスポーツ車用としての10スピードには、 うまく組み合せることが困難です。
というわけで、この本ではもっぱらディレイラ一について説明を進めていきましょう。
ディレイラーは歯数のちがうスプロケットを2 (日本では現在のところ5枚迄) 並べでフリーの上に取付けて、その上をチエンを左右に乗り移らせる式のものですから、スプロケットの歯数さえ変えればステップもギヤ比も自由にかえられるという大きな特長があります。
ディレイラーの発明は C.M. Linley (英)のフリ ―ホイールの発明 (1894)年よりも1年早く同じ
Linley氏によって固定式の2スピードのものが考案されたのが最初ですからずい分古い話です。
その後ディレイラーはイギリスでは問題にされす、主としてフランスで改良を重ねられて1910年代にはフロントディレイラー(普通は略してフロントといいます)も発明されました。
日本とざっと50年のひらきですから、オドロキです。
1923年はツーリストにとって大変意義の深い年で、ツーリング用のディレイラーとして信頼性の高いダブル・ケーブル・コントロール型式 (いわゆるプルプル式) がフランスの A. Raimond によって考案されました。これが今日まで本格的ツーリング用として広く採用されている “CYCLO"(仏)第18図のスタートなのです。
第16図 ハブギヤの内部構造
第17図 スポーツ車用軽量ディレイラー
PF型ディレーラー
パンタグラフ式PA型の普及型として製作しました。 PA型と同様全天候性は勿論その他の長所を取入れサイクリング用にも好適な、 特に重量が軽いものを製作しました。
形式 PF
重量 263g
価格 シングルレバー及ワイヤー付 2,200円