スティーブンスの日本旅行記-⑩
小倉からは人力車道を数里ほど進むと大里に至り、そこから小道が丘陵地帯やハゼノキ林を横切り、さらに2マイル(1里はイギリスの2マイル強)進むと門司村に着く。ここで小さな渡し船に乗り、下関に渡る。午後2時頃に到着した。
雨天に備えて下関で24時間宿泊する。宿屋の女将はヨーロッパ料理に通じていて、とても美味しいビーフステーキとコーヒーを用意してくれた。下関にはヨーロッパの品々が溢れ、その巧妙な模倣品もたくさんある。
街を一時間ほど散歩すると、日本人が外国の品物にどれほど魅了されているかがよく分かる。ほとんどすべての店が、外国から輸入した商品或いはその模造品を専門に扱っているようだ。輸入品を単にコピーするだけでは飽き足らず、日本の職人はオリジナルに何らかの改良を加えようと努めるのが通例だ。例えば、石油ランプの正確な模造品を作った後、日本人の職人はそれを使わない時のために、小さくてこじんまりとした漆塗りの棚を作る。宿屋でコーヒーを入れるコーヒーポットは、精巧な仕掛けで、明らかにアメリカ人の創意工夫を再現したものだろう。
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図の説明、「スティーブンスは日本の娘たちと憩う」
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下関フェリー
自転車世界一周
トーマス・スティーブンス著
1888年発行