ロンドン自転車クラブ会報 - 21
A. O. ウォード & J. S. ストークス 編集
1878年8月15日、木曜日
日本自転車史研究会のブログ Copyright © Yukio Ootsu
ロンドン自転車クラブ会報 - 21
タンデム・ドライジーネ
下の画は、1819年にイギリスの画家チャールズ・ウィリアムズ(Charles Williams)によって描かれた風刺画「A LAND CRUISE on one of the Patent Hobby Horses(特許ホビーホースの陸上航海)」。
当時のヨーロッパで大流行していた「自転車の原形」を巡る社会現象や流行、階級社会をユーモラスに描いている。
1817年にドイツのカール・フォン・ドライス男爵によって発明され、ペダルはなく「足で地面を蹴って進む」乗り物。イギリスに導入されると、上流階級やおしゃれな若者たちの間でブームとなったが、「奇妙な乗り物」として多くの風刺画の対象となる。
中央でホビーホースを漕いでいる2人は水兵(セーラー)で、前方の水兵が「風もないのに素晴らしい航海(セーリング)だぜ!」と喜んでいる。操縦が荒っぽいため、左側にいる「ダンディ(気取り屋のいなせな紳士)」に激突している。ぶつけられた紳士はハンドルを離し、帽子を飛ばしてひっくり返りそうになっている。
水兵たちが乗っているホビーホースは、実物にはない「2人乗りのサドル」と「後部座席」が取り付けられた架空の大型モデルである。後ろの座席には着飾った女性たちが乗ってお酒を楽しんでおり、「乗り合い馬車(Dilly)より快適ね!」とはしゃいでいる。
右奥には、馬車がひっくり返り、人々が地面に投げ出されている凄惨かつコミカルな様子が描かれている。
セリフには当時の俗語(スラング)が含まれている。水兵たちが「ダンディ(Dandy)を轢いちまうぞ!」「ダンディをひっくり返してやった!」と言っているが、これは「おしゃれな紳士(ダンディ)」という意味と、当時ホビーホースが「ダンディ・ホース」とも呼ばれていたことから、「乗り物」と「気取った男」の両方を引っ掛けたダブル・ミーニングになっている。
カミナード自転車
フランス製「カミナード(Caminade)」自転車は、 1910〜1950年の旧カミナード(ピエール・カミナード)と、 2013年以降の新生カミナード(Brice Epailly & Sylvain Renouf)
という二つの時代を持つ特異的なフランスの自転車ブランドである。
歴史的にはアルミ・マグネシウム合金(Caminargent)による分解可能フレームで知られ、現代では フランス国内製造のスチール或いはチタンのハンドメイドバイクとして再評価されている。
下の広告は、フランスの自転車技術者ピエール・カミナードによる、軽量で剛性の高い自転車の広告。1930年代から40年代にかけて、カミナードはアルミ合金を使った独自の自転車フレームを製造していた。
広告では、独自のダブルボトム・ペダルや、フォークがフォークセットを支える独自の構造など、革新的な技術をアピールしている。
1879年生まれのピエール・カミナードは、独創的な職人であり自転車製造者であった。
分解可能な自転車は、当時航空産業や建設業界で高く評価されていたアルミニウムとマグネシウムの合金であるジュラルミンで作られていた。
六角形のチューブはネジで組み立てられ、組み立て用スリーブは赤、緑、青のいずれかで彩色され、スリーブの空洞部分も同じ色で塗装されていた。
フレーム以外にも、ハンドルバー、リム、クランク、ハブなど、多くの自転車部品もカミナードによって製造された。
蒸気機関付きの足蹴り自転車
下の図は、1818年にパリで描かれた、蒸気機関付きの足蹴り自転車(ドライジーネ)の風刺画『Vélocipèdraisiavaporianna(ヴェロシペドライシアヴァポリアンナ)』。
『Vélocipèdraisiavaporianna』(パリの風刺画、作者不明)
描かれた時期: 1818年4月3日、パリのリュクサンブール公園での実演をテーマにしている。
当時流行し始めたペダルなしの二輪車「ドライジーネ(ヴェロシペード)」に、蒸気ボイラーを無理やり載せた架空の乗り物。後ろから火を焚きつけて蒸気を噴き出させて走る様子や、驚く見物人たちがユーモラスに描かれている。
オートバイや蒸気自動車の歴史を語る際、「世界初のオートバイのアイデア(風刺画)」としてもしばしば紹介されている。
ロンドン自転車クラブ会報 - 20
第1巻 第20号
編集:A・オージア・ウォード
1878年8月8日(木曜日)発行
註、アクロスティック(頭文字合わせの詩)、
この詩は アクロスティック(頭文字と語尾で別の名前を作る)形式のなぞなぞ詩であり、
各行の答えを当てることで:
頭文字 → 勇敢な英雄(Nathan Hale)
語尾 → その英雄の名声を後世に伝えた人物(Henry A. Arnold)
という二重の答えが現れる仕掛けです。
ロンドン自転車クラブ会報 - 19
第1巻第19号
A. オジエ・ウォード編集
1878年8月1日(木)発行