タンデム・ドライジーネ
下の画は、1819年にイギリスの画家チャールズ・ウィリアムズ(Charles Williams)によって描かれた風刺画「A LAND CRUISE on one of the Patent Hobby Horses(特許ホビーホースの陸上航海)」。
当時のヨーロッパで大流行していた「自転車の原形」を巡る社会現象や流行、階級社会をユーモラスに描いている。
1817年にドイツのカール・フォン・ドライス男爵によって発明され、ペダルはなく「足で地面を蹴って進む」乗り物。イギリスに導入されると、上流階級やおしゃれな若者たちの間でブームとなったが、「奇妙な乗り物」として多くの風刺画の対象となる。
中央でホビーホースを漕いでいる2人は水兵(セーラー)で、前方の水兵が「風もないのに素晴らしい航海(セーリング)だぜ!」と喜んでいる。操縦が荒っぽいため、左側にいる「ダンディ(気取り屋のいなせな紳士)」に激突している。ぶつけられた紳士はハンドルを離し、帽子を飛ばしてひっくり返りそうになっている。
水兵たちが乗っているホビーホースは、実物にはない「2人乗りのサドル」と「後部座席」が取り付けられた架空の大型モデルである。後ろの座席には着飾った女性たちが乗ってお酒を楽しんでおり、「乗り合い馬車(Dilly)より快適ね!」とはしゃいでいる。
右奥には、馬車がひっくり返り、人々が地面に投げ出されている凄惨かつコミカルな様子が描かれている。
セリフには当時の俗語(スラング)が含まれている。水兵たちが「ダンディ(Dandy)を轢いちまうぞ!」「ダンディをひっくり返してやった!」と言っているが、これは「おしゃれな紳士(ダンディ)」という意味と、当時ホビーホースが「ダンディ・ホース」とも呼ばれていたことから、「乗り物」と「気取った男」の両方を引っ掛けたダブル・ミーニングになっている。






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