2023年3月28日火曜日

スティーブンス下関へ渡る

 スティーブンス下関へ渡る

スティーブンス、佐賀~福岡~若松~小倉を経由して、いよいよ九州から本州へ渡る。

註、下の「AROUND THE WORLD ON A BICYCLE」の挿絵は、関門海峡を和船で渡るスチーブンスと彼のダルマ自転車”コロンビア”、舳先には日よけ用に番傘をさした夫人が同船している。船頭は無心に櫓をこぐ。

立っているスティーブンスは前方の帆掛け船を眺めている。向かう下関の方は、大きな山(火の山?)がこの海峡を睥睨しているかのようである。右寄りの山の中腹には神社か寺と思われる建物が見える。港に並ぶ建物はどこか中国風である。

下関へ渡る
「AROUND THE WORLD ON A BICYCLE」の挿絵

(一部抄訳)
若松から小倉までは起伏の多い道であり、小倉からは狭い海峡をはさんで下関を見ることができる。
本州と九州はこの海峡で隔てられている。
小倉から人力車道を通って行き、木立の小道と丘を横切り、門司の村までさらに 2マイルを走る。
 ここで小さな和船の渡し船に乗り込み下関へ向かう。下関には午後2時頃に到着した。
雨天のため、下関で24時間休むことになる。
宿屋の女将は、ヨーロッパの料理をよく知っていて、とてもおいしいビーフステーキとホット・コーヒーを用意してくれた。 
下関はヨーロッパの商品がたくさんある。目抜き通りを1時間散歩すると、日本人が外国の商品をどれだけ高く評価しているかがわかる。
他のすべての店もほとんどの場合、他の国からの商品またはその偽物で商いをしているようである。
日本の職人は、単に輸入品を模造するだけでは満足せず、オリジナル品を改良しようと努めている。たとえば、石油ランプを正確に模倣した後、日本の職人は、使用していないときに置く小さなラッカー・キャビネットを作る。
宿屋で出されるコーヒーを淹れるコーヒーポットは、3つのチャンバーを備えた独創的な仕掛けで、明らかにヤンキーの創意工夫を再現している。
近くの小さな丘の上に大きな神社があり、石段が本殿の入口まで続いている。
階段の入り口には、独特の鳥居がある。この鳥居は神社の特徴的なシンボルであり「鳥の止まり木」を表現している。
 多くの神社が寺院の中庭を占めている。神社はほとんどが木造で、さまざまな神々を崇拝している。
各神社の前には、かならず賽銭箱がある。
日本人の信者は神社の前で 1分間ポーズをとり、頭を下げて手のひらを合わせる。
それから小銭を 1枚か 2枚、賽銭箱に投げ入れる。
本堂には数多くの絵画、弓、矢、剣など、さまざまな品物が奉納されている。
漁師が信仰する神社では、巨大なシルバー・ペーパー・フィッシュ(魚拓?)と無数の三叉魚槍が奉納されているのが特徴である。
日本の神話に精通していない旅行者は、他の奇妙なオブジェクトの中に、3フィートほどの長さの不釣り合いな鼻を持つ巨大な人間の顔(大天狗)を見ることもある。

関門海峡と亀山八幡宮
明治5年(1872) 内田九一撮影
長崎大学付属図書館所蔵資料

註、スティーブンスが訪れた下関の神社は赤間神社か上の写真にある亀山八幡宮と思われる。あるいは両方訪れたか。

スティーブンスも乗っていた
コロンビア自転車

私も乗ったことがある
コロンビア自転車 50インチ
オハイオ州フィンドレー
1991年6月29日撮影