スティーブンス琵琶湖を巡る
岡山~姫路~神戸~大阪~京都~大津を経由して、スティーブンスは琵琶湖の畔に着く。
註、下の画は、琵琶湖の湖畔を走るスティーブンスである。右には琵琶湖に浮かぶ和船が三艘停泊している。飛脚のような人物も見える。左端では女性が道を清掃している。それとも落ち葉拾いか。袋を持った女性も見える。
462頁
「AROUND THE WORLD ON A BICYCLE」の挿絵
スティーブンス琵琶湖を巡る
(一部抄訳)
京都からは、日本で最も有名な街道である東海道が始まる。それは何世紀にもわたって今日まで続いている。京都から東京までは、325マイル(約470㎞)の距離である。
中山道と呼ばれるもう 1つの道は、東海道と同様に京都と新しい首都を結んでいる。中山道は坂道が多く、東海道ほど簡便なルートではない。
京都の街を出ると道は、琵琶湖として知られる美しい湖を見ながら大津への峠を越えて行く。
この湖はジュネーブの湖とほぼ同じ大きさで、その美しさはスイスの宝石に匹敵する。
自然の美しさへの深い感謝とともに、琵琶湖の景色は恍惚にさせてくれる。
その景色は「琵琶湖八景」(近江八景)として知られている。
八景とは次のとおり、石山の秋の月、比良山の暮雪、瀬田の夕照、三井寺の晩鐘、矢橋の帰帆 、粟津の晴嵐、 唐崎の夜雨、堅田の落雁である。
琵琶湖には、さまざまな伝説やロマンティックな物語がある。
この伝説の起源は、西暦の数世紀前(紀元前 286 年)に起こった大地震によると言われている。
富士山は琵琶湖が形成された同時代に駿河の平野から急に雄大な高さにそびえ立ったと伝えられている。
湖の周辺には多くの寺院や神社があり、巡礼者が遠く離れた場所から参拝に訪れ、その美しさを堪能する。
観光客にとって特別な好奇心の対象の 1つに、見事な枝ぶりのよい松(唐崎の松)がある。
「近江八景」の一つ
石山の秋の月
葛飾北斎筆
東京国立博物館所蔵
唐崎の松
滋賀県大津市阪本町
撮影年月日不詳
日下部 金兵衛 撮影
長崎大学付属図書館所蔵
現在の唐崎の松
グーグルマップより
スティーブンスが携帯した
「マレーのハンドブック」
1884年版
80頁
近江八景などの内容は
「マレーのハンドブック」の
このあたりの記事を
スティーブンスは
参考にしている
註、この後、スティーブンスは大津から四日市方面に向かってダルマ自転車を走らせて行く。