自転車の物語
「ジョニー・オ・ウォブラーの二輪のドラゴン」
自転車物語:エドウィン・ウォー著 1869年
「車輪の中に車輪がある」- 古いことわざ
註、「車輪の中に車輪がある」とは、さまざまな事柄が絡み合っていて、複雑で対処が難しい状況、のこと。
この本には挿絵無し。
表題
3頁
ある晴れた夏の夕方、 ジョニー・オ・ウォブラーズとそのロバは、空の荷袋を持って市場から帰ってきた。ジョニーは壺をいつもより高値で全部売ってしまったからだ。 ジョニーの心は羽のように軽く、 ゆっくりと歩く仲間の横をぶらぶらと歩きながら、 むちを振り回しながら、 眠たげに古い小唄を口ずさむ。まるで、蜜をたっぷり含んだ蜂が黄金色の空を羽音を立てて家路に飛んでいるかのようだった。ジョニーは今や広々とした緑の田園地帯に着き、町の喧騒は遠くへ消え去っていた。 あの群がる産業の尖塔や高い煙突は視界から消えつつあり、 郊外にある庭園も後方に小さくなっていった。 太陽は沈みかけ、すぐ近くの木々の影が斜めに長い線を描いていた・・・