軽合金の自転車
「軽合金の自転車への利用」鳥山研究所 鳥山新一
日本サイクリングクラブ、1955年発行
国会図書館所蔵資料
以下同じ
第1表
軽合金自転車の歴史
1947年、三菱重工の十字号及び
岡本自転車のノーリツ号に注目
軽合金の 自転車への利用(一部抜粋)
すでに輸入外国製自転車研究によって、スイス製、フランス製の自転車をはじめ、 欧州諸国の自転車においては、軽合金の利用が相当の普及度にあることが広く知られてきた。さらに最近のサイクリング用車に対する要望や輸出用の軽量車の問題もあって、メーカーの立場からも必然的に軽合金に対する関心が高まっている状況である。しかしながら、現在までのところ、自転車に対する軽合金の利用についての研究報告、あるいは参考文献は比較的少く、筆者の知っている範囲の主なものはつぎの如くである。
(1)自転車海外情報 第14号(26年6月)
外国製競走車の部品 鳥山新一
(2)同上 第31号(27年7月)
南欧現地調查報告 技術編 鳥山新一
(3)同上 第39号(27年12月)
欧州製部品紹介写真集 鳥山新一
(4)外国製自転車研究報告 1952年度版 工業会
(5) 名古屋工業技術試験所調查報告 第1号(28年4月)
(6) 堺市產業技術委員会研究報告 第6集 (28年5月)
(7)外国製自転車研究報告 1953年度版 工業会
(8) 自転車海外情報 第57号(29年4月) 軽金属協会
(9)自転車生產技術情報 第5号(30年2月) 森永卓一氏
上記のうち、(1)~(3)は主として欧州諸国における軽合金製部品の紹介とその普及状況、ならびに 使用合金品種について簡単に述べたものである。
(4)は輸入スイス車に使用されていた若干の軽合金製部品の成分分析、あるいは推定組成が断片的に報告されており、(5)、(6)はいずれもこれに転載されている。しかし、ここで扱われている部品の品種はわずかであり、その記載もきわめて簡単である。(7)はフランス車の部品8品目の分析表とAlcoaの規格表が掲載されている。(8)にいたってようやくアルミニウム合金の自転車への利用が、その歴史から説きおこして具体的に各部品に対し、どのような品種の軽合金を使用すべきかが、かなり詳細に紹介された。しかし原文がイギリス の文献である関係もあって、現在自転車界でもっとも軽合金の利用の盛んなフランスの部品についてほとんどふれていないのは残念である。とはいうものの、規格表の羅列や単なる分析結果の表示 に過ぎなかったものに対し、一応製作上の手がかりをあたえた点では重要視すべきものである。・・・・