つげ義春と自転車
先般、知人のK氏から電話があり、その話の中で漫画家の「つげ義春」を知っているか、と尋ねられた。
小学生の頃は横山光輝の「鉄人28号」に夢中であり、よく授業中に教科書の隅にその漫画を描いて遊んでいた。その後は殆ど漫画とはあまり縁がなく、恥ずかしながら「つげ義春」を知らなかった。(荘司としおの『サイクル野郎』はいまでも数巻持っている)
先日、いつも行く、山の店ウエレンの店主に「つげ義春」を質問したところ、彼は知っていて、『ねじ式』という作品名も出た。
「つげ義春」、日本ではもちろん有名だが海外でも著名人とのことであった。
聞くところによると自転車の接点について、つげ義春は貧乏時代にいつも宮田自転車の実用車に乗っていて、何処に行くにも自転車であったとのこと。自転車マニアではなく当時は金がないので自転車が交通手段であったようだ。
K氏の話では、自転車の歴史を研究する人間なら知っておくべきでは、と。
その後、ネットで「つげ義春と自転車」について調べたところ、何点かの自転車のある漫画がでてきた。その中で特に注目をしたのは、「つげ義春初期短篇集」のブック・カバーの裏面に描かれていた画である。
よく見ると何処で見た構図である。手持ちの資料を調べたところ直ぐに判明した。
それは、明治3年の錦絵「東京日本橋繁栄之図」歌川芳虎の3枚続きに出ているミショー型の自転車である。不自然なハンドル部など一致している。
「つげ義春」は錦絵までも参考にしていたことがこれで分かる。そうなるとある面、自転車マニア或いは研究者であったことが伺える。
これを機に、「つげ義春と自転車」の関係を今後は注意したいと考えている。
カバーの表
カバーの裏側
この自転車に注目
東京日本橋繁栄之図 3枚続 明治3年 歌川芳虎
ミショー型自転車の部分を拡大