自轉車瓦版 第41号
昭和60年6月26日発行
★須賀氏からの情報
「辞書漫歩」(昭.53.7、惣郷正明、朝日イブニング社発行)を見ていたら、そのページ25に京都で出版された「英字訓蒙図解」(明治4年頃発行) という本が紹介されていた。この本は、小川金助書店から、児童の一般啓蒙書として出されたもので、乗り物や都市、学校その他が図解入でわかり安くと書かれている。これに自在車として自転車の絵が出ている。また、明治4年文部省が発行した、「泰西訓蒙図解」(上下2巻)のP.24でも「英字訓蒙図解」の絵が紹介されている。ここに描かれている絵は錦絵よりもすっきりした絵で馬車、人力事、自在車など当時の乗り物の様子が分かる。明治の初期には、このような図解入りの英単語集や教師の手引書が出ており、このような中からも自転車を見つけだすことができる。
・同じ「辞書漫歩」P.210にサイクリングの移り変わりというのがあり、次のように書かれている。「明治9 年(1876)大阪で刊行された『開明節用集』(山本与助編)には自転車の単語が載せてあり、「明治初年には日本にも現物が渡来した」、「新橋横浜間を汽車と競走して自転車の方が早く着いた、というから自転車はスピードのシンボルでもあった」 自転車と汽車が競争したとは、驚きである。どのような文献からの引用であろうか?
★幕末ごろに翻訳された辞書の中にも或いは自転車という単語が出て来るかもしれない。その辺から自転車という用語がいつごろから使われたか判断できよう。
210,211頁
「辞書漫歩」惣郷正明著
朝日イブニング社
昭和53年
国会図書館所蔵
212頁
同上
19頁
「泰西訓蒙図解」 下巻
文部省 明治4年
国会図書館所蔵
以下同じ
20頁
21頁