南蛮又九郎
「鳶魚縦筆」三田村鳶魚 著 桜井書店 昭和17年5月28日発行より
江戸時代の機巧師には、松田播磨、山本飛騨、竹田近江それに南蛮又九郎(長崎の又九郎)がいた。
1708年(寶永5年)頃に南蛮又九郎は飛行機(飛行馬)のようなものを製作したと伝えられている。
42頁には例の竹田近江の陸舩車の図もある。
35頁
「鳶魚縦筆」三田村鳶魚 著
国会図書館所蔵資料
42頁
「鳶魚縦筆」三田村鳶魚 著
国会図書館所蔵資料
南豊又九郎
我が国で顕著な機巧師は、松田播磨、山本飛騨、竹田近江しか知らなかったが、ふと傾性野郡(享保二年板)に、長崎の又九郎を教へられた。
當地に人形からくりの細工人さまざま有中に、銘人といふをよびよせたしとあれば、南蛮細工の又九郎と申こそ天地にあらゆる事を作り、四百余州に古今の細工師が致せし事、何にでも致さぬ事なし、せいは四尺にたらぬ男の、しかもちんばにてありける、和唐内、又九郎にちかづき、よびよせ申事、余の義にあらず、むかし唐に飛鳥翁といふ者、鶴をつくりてのりけるよし、さやう成細工なるべきやといへば、又九郎承り、なるほどそれはしやすい事、十ヶ年以前に、飛行の馬をこしらへ、出来たつとそのまま夫婦打乘、東へ向こうてこくうをとばせ、その日のくれがたに・・・・。
註、まるでSFの世界のような話である。