自転車関係資料 - 255
「実地遊覧西洋風俗記」改進堂 明治20年4月20日発行より
この問答集の記事の中にトーマス・スティーブンスと例のマルトビーが載っている。
記事によるとマルトビーは自転車の曲乗り師で、世界を周り自転車曲乗りの興行を行っていた人物である。
当時、自転車の曲乗りでは有名であったウィルバート・スティーブンス・マルトビー(WILBURT STEVENS MALTBY)であることがすぐに判明した。
1886 年の春、自転車曲乗りの興行の為、世界旅行を決意し、ハワイ経由でサモア、そしてニュージーランド、オーストラリア、インドへ。
彼の著書である「Trick Cycling in Many Lands:An Exhibition Tour of the World.
1895」を見ると日本には訪れていない。
註、当ブログ自転車関係資料 - 254 を参照。
138,139頁
「実地遊覧西洋風俗記」改進堂
明治20年4月20日発行
国会図書館所蔵
140,141頁
142,143頁
奥付
〇問 自轉車にて世界を一周すると云へる名高き旅客スティーブンス氏は不日東京に来着すべき筈なりと云ひ又第二の自轉車一周客マルトビー氏も既に此程印度コロンボ迄到着したりと云ひ亜弗利加のモロッコ国王迄宮中に自轉車を玩ぶに至れる由続々貴社(報知新聞)の紙上にて拝見せり左すれば自轉車は今日西洋一般の流行物と相見ゆ彼地にて自轉車の有様は如何なりや
〇答
・・・・又た西洋にて寄席などの如き場所にて一寸と前芸として此の自轉車の曲乗りをなすも往々少なからず其の乗り方は色々あれども先ず其の一例を挙げに彼の曲乗りの芸人は左も軽快に見える直径四五尺許ばかりの大輪付きたる二輪自轉車を舞台の中央に持出し最初の之に打乗りで広しとは云えど限りある舞台の上をば縦横十字卍巴或いは斜めに或いは直ぐに自由自在に乗り廻し又勢い込て走り居る車をば腰を捻りて忽ち中止し瞬き五ツ六ツする間云へる者は恰も二本足にて屹立せるが如くにみたるまま少しも動かず此外の或いは車は停め片足を車上に掛けたるのみにて半身は落ち損ないながら宙に留まり居る或は枕の如き小さき箱をいくつもいくつも高く積立たる上に・・・・
インドで自転車曲乗りの興行
Trick Cycling in Many Lands:
An Exhibition Tour of the World.
1895
この図はダルマ自転車を分解して前輪だけで曲乗りしている。