スティーブンスの日本旅行記 パート2-2
しかし、日本の通行料と道路に関する私の知識不足のため、彼女の丁寧な対応は通用せず、私を通してくれた後、彼女は前に出てきて説明をしなければならなかった。数枚の小銭と引き換えに、日本語で書かれた木製の切符(木札の通行証)が渡された。これは、さらに上の料金所への通行証かと思った。しかし、後にそれが帰りの通行証だと分かった。当然のことながら、料金所のおばさんは、私がいずれ長崎に戻るだろうと思っていたのである。
峠では、米、飼料、薪、その他様々な農産物を籠に詰めた子馬や牛に出会う。彼らは幅広の菅笠をかぶり、赤い丹前を着て、草鞋を履いた日本の百姓たちで、長い手綱で先導している。馬も牛も、人間たちと同じ草鞋を履いている。日本人旅行者は旅に出る際、新しいわらじを一足用意する。道の状態にもよるが、これで10マイルから20マイルの旅ができる。履物がすり減っても、どの村でもわずか数セントで簡単に買い替えられる。馬や牛についても同じことが言えるが、必要に応じて数足の予備の草鞋を持参するのが通例である。
峠の頂上は、山の尾根の岩を深く削り取った切通になっており、狭い段々畑や畑に沿って急カーブを何度も繰り返し、日見川と呼ばれる清流の谷へと下って行く。この小川沿いは、平坦な道が続き、時折石橋や木橋が架かる。内陸に伸びる小さな河口を過ぎ、夕食のために小さな矢上村に到着した。食堂は、日本のほとんどの飲食店と同様に、こぎれいで清潔感があり、茶色の木造部分は床から天井まできれいに磨かれている。
高床の端に腰を下ろすと、女将が近づいてきた。彼女はひざまずき、額を床につけて挨拶した。彼女の礼儀正しさは実に魅力的で、もしお歯黒がなければ、彼女の笑顔はきっともっと魅力的だっただろう。花の咲く帝の王国では、黒ずんだ歯は未婚と既婚の区別の印だ。結婚すると歯は黒く染められ、それまでは小さな白い象牙の歯を並べたようなかなり魅惑的なものだが、お歯黒は西洋人の心には明らかに不快なものとなる。