2025年6月10日火曜日

スティーブンスの日本旅行記 パート2-3

 スティーブンスの日本旅行記 パート2-3

魚と米は日本の旅館で最も簡単に手に入る食べ物であり、しばしば唯一のメニューとなっている。日本酒、またはライスビールは、通常、日本人の食事に含まれているが、平均的なヨーロッパ人旅行者は、最初は飲み物をお茶だけに留めている。日本酒は1合入る口の広い安価な磁器の徳利とお猪口で提供される。日本酒を温めるために、徳利を沸騰したお湯に数分間入れる。日本人は酒を好む。日本酒はビールというよりスピリッツに近く、米から作られた純粋なアルコール飲料で、最初はかなり不快だが、すぐにヨーロッパ人の味覚に合うようになる。

街道沿いの茶屋はどれも、きれいに着飾った笑顔の女給たちによって、さらに魅力的になっている。彼女たちは道行く人を休憩やお茶や軽食に誘う。彼女たちの接客は、主に愛嬌のある笑顔と丁寧なお辞儀、そして明るい挨拶で「おはようございます」、「お元気ですか?」)と云う。これらの茶屋に立ち寄ると、少女たちが家で「おままごと」をするのと同じくらいの小さな急須と、それに合うような茶碗が漆塗りの盆に乗せられ、魅力的な優雅さで目の前に置かれる。柿、お菓子、ケーキ、そして様々な軽食が正面の台に食欲をそそるように並べられる。どんなに些細な買い物でも、お金の何倍もの価値がある優しさと礼儀正しいサービスである。

日が沈む頃、やや大きな町、大村の平坦で清潔な通りに出て、魅力的な宿屋に泊まることにした。半ヨーロッパ風の服を着た宿屋の若者は大喜びであった。二階の部屋を割り当てられ、私が横になれるように畳を敷(座布団を置いた?)いてくれた。礼儀正しい仲居が、入室時も退出時も額を床につけていた。お茶、お菓子、小さな箱入りの炭火鉢、痰壺などのお決まりのサービスで私を心地よく落ち着かせてくれた後、店主、妻、娘が皆やって来て、最も丁寧に挨拶した。

他の東洋諸国で経験したような挨拶や敬意の表し方の後でも、ヒンドゥー教徒が偶像の前で平伏するように、何人かの日本人が自分の座っている前で頭を下げる光景には、やはり感銘を受けずにはいられない。


435頁

大村宿
「長崎街道」 続 (親和文庫 第12号) 1976年発行
国会図書館所蔵資料

大村
Googleストリートビュー