2022年5月26日木曜日

世界最軽量自転車

 世界最軽量自転車

自転車はいったいどこまで軽量化できるのであろうか?

現在では2.7kgが最軽量(Fair wheel Bikes社)と承知しているが、はたしてこの重量で実用に耐えるのかは疑問である。

しかし、この軽量化に対する挑戦が新しい素材の開発とともに今後も継続されるであろう。

ちなみに、過去の記録でも同じように2.7kgであったことが興味深い。偶然の一致か。

過去の記録は下の表が参考になる。

この表は、「自転車生産技術」第14号、昭和30年9月30日発行、日本自転車工業会

の「軽合金の自転車への利用」鳥山研究所、鳥山新一、4頁の第2表 軽い自転車の歴史

からである。

一部抜粋、

たとえば、 第2表に、 現在までに市販された、あるいは展示会等に出品された試作の軽い車の一覧を掲げてあるが、 これで知られるように、 車の重量は必ずしも自転車の進歩と同一とはいえないのである。

実用に供された車で、 現在までにもっとも重量の軽いものは、 写真1のイギリスの Dursley Pedersen の車 (1893年) であり、 じつに62年昔のもので、軽合金を全然使用せず、 3スピードのハブギヤを装備して、 なおわずかに 5.9kg という驚異的な軽さである。

この他軽合金をまったく使用しない車では写真2のイギリス Raleigh 社の R.R.A. 号 (1937年)がある。 これはロードレース用の装備でブレーキをつけて 8.8kg でありながら、軽合金はまったく使用していない。

戦後これと同じ車が、 同じくR.R.A. の名で.ダブルバテッドチューブとできる限りの軽合金部品を装備して売り出されているが、その重量は第2表の最下段に示すように、 18年前の軽合金部品を全然使用していない1937年の車と同一の 8.8kgである。

このへんのことをよく考えあわせると、軽合金の自転車への利用の真の狙いがわかることと思う。 またかって作られた車で、乗車に耐えるものでもっとも軽いものは、 写真3のフランスのRochet社のトラック用車 (1949年) 、 わずかに 2.77kgという信じられないくらいの、 大体普通のレース用車のフレームだけの重量と同じ軽さであるが、この車もフレームは特殊鋼製である。

これに対して、 全軽合金製の車は大体 5.5kg程度から8kg、 旅行車で10kg 前後の重量である。

これからでも知られるように、 軽合金の採用が必ずしも本当の乗り良い車で軽いものというわけにはいかないので、 現在の軽合金ではおのずからそこに限度があるわけである。

第2表 4頁

 写真3のフランスのRochet社のトラック用車 
(1949年) 5頁