2025年9月28日日曜日

自轉車瓦版 第35号

 自轉車瓦版 第35号

昭和60年6月21日発行

★メーカー事始シリーズ第1回、

『トライアンフ』 横浜の石川商会が明治40年頃、トライアンフを輸入したのが日本人とトライアンフとの最初のふれあいであった。トライアはむしろ自転車ファンよりもオートバイ 愛好者にその知名度は高く、“トラ”という愛称で親しまれた。現在でもそのファンは多い。 20年ぐらい前にはよくトライアンフのタイガーやボンネビルを走らせるライダーを見かけたものであった。

『トライアンフ』のブランドは、創立者であるジーグフリード・ベットマンが、1886年に自社の自転車に付けたのが最初と云われる。彼は、1884年にドイツからイギリスへ移住した人物で、故郷のバイエルンでは裕福な地主の息子として育ち、高い教育を受けていた。イギリスに渡った当時のベットマンは、まだ21才の若さであったが、優れた能力と語学の教養を武器に、たちまちの内にアメリカ資本のホワイト自動車会社で重要な職を得るまでになっていた。その後、彼は会社勤めの経験を生かして独立し、貿易会社を設立してミシンなどの商品を扱うようになった。1885年には自転車の分野にも手を広げ、“ベットマンマシン“のブランドで販売を始めたのである。この頃のベットマンは独自の自転車工場を持っていたわけではなく、バーミンガムのウィリアム・アンド・リュースが製造した自転車を買い、それに”ベットマン"のブランドを付けて販売していたのである。(次号につづく) 


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トライアンフサイクル株式会社
ロイヤルトライアンフ

「サイクル・オブ・ザ・シーズン」
1892年
ハリー・ヒューイット・グリフィン著