この本は、表題を十返 舎一 九の東海道中膝栗毛を模していますが、内容は若者らしいまじめな紀行文です。
十返 舎一 九のような珍事や失敗談はありません。
小田原の部分を読みましたが、当然ながら五右衛門風呂の騒動はありません。
小田原の宿では箱根越えで疲れた二人はぐっすり眠り、翌朝はゆっくり起床しています。午前10時に宿を出て、小田原城址、尊徳二宮神社、大久保神社などを参詣しています。
昭和12年といえば、盧溝橋事件を端緒に日中戦争が勃発した年です。軍国主義の風潮があらゆる面で加速していた時代です。
言論統制で共産主義や自由主義への弾圧がはじまっています。
この二人の若者は、つかの間の平和をこの自転車旅行で満喫したに相違ありません。
表紙
弥次さんと喜多さん
道中往復略図
昭和12年10月17日~同年11月9日