2021年11月10日水曜日

会報「自転車」バックナンバー86

 会報「自転車」バックナンバー86

1996年1月15日発行 日本自転車史研究会
その一部を掲載、

ニュースレター(NEWSLETTER)
★新年部品交換・売買会
日時:1996年2月3日(土)13時から17時まで
参加料:出店者のみ有料、300円(会場費、当日徴収)その他、無料
場所:文京区本郷3-10-18 文京区湯島総合センター3階
JR御茶ノ水より徒歩8分、蔵前通り、湯島1丁目交差点近く
その他:原則として未使用の部品・用品など。定価を明記して下さい。
駐車場はありません。各自の責任において、違反のないようお願いします。
出店希望者は、八塚(やつづか)までご連絡下さい。
友人、知人お誘い合わせで参加して下さい。
上記の要領で、自転車部品の交換・売買会を開催します。
昨年10月21日にも多摩川で行いましたが、その後多くの方々から、都心でやって欲しいとの希望が寄せられ、試みに関催しようと思います。(八塚)

★石原政雄氏からのレター
前号に書かれていた阿弥陀骨ですがTVで見ました。
清水武甲氏の写真集「秩父浄土」(1976年2月、春秋社)の中に、阿弥陀骨の見本のような写真を見つけましたので、お送りします。参考になれば幸いです。
112及び113は、札所27番、大淵寺の観音像とそのシルエットです。まるで自転車の車輪を背負っているようです。
132は、札所32番、法性寺の渡海観音です。まさにスポーク(阿弥陀骨)そのものです。
他にもあるか、また探してみます。

★クラシックモールトン
昨年の11月22日に八ヶ岳山麓で行われた第2回モールトン・ミーティングでは、クラシック・モールトンが何故か注目を集めていた。
人が持たないものを持ちたいという願望は、誰にでもある。
特にこのような趣味人の世界では、それが際立つ。
最新鋭のものか、希少なクラシックの自転車に目が向けられるのは当然だ。
そして、ますますこの傾向は強くなる。それだけ幅も深みも出てくるのだろう。
モールトンも既に歴史的自転車になったのである。
今年のミーティングには、どのようなクラシック・モールトンが現れるか、今から楽しみで
ある。

★自転車業界戦後50年
自転車文化センターの渋谷次長からの情報によると、インタープレスではこの程「自転車業
界戦後50年」という本を発行したとのこと。
戦後も早50年。この50年は、自転車に限らずあらゆる物事にとって、100年以上を凝縮したような感がある。
特に電子機器の進展には、目を見張るものがある。
半年前に購入したパソコンが既に最近では陳腐化してしまう時代なのだ。

★八神史郎氏からのレター
国際ヴェテラン自転車協会では役員改選があり、会長はBob BALCOMB氏からWalter ULREICH氏へバトンタッチされた。
機関紙として新たに「ジャーナル」(95年12月)が発刊。
編集担当は、英国のRon SANT氏である。今後年6回刊行予定とのこと。
創刊号の内容は、今後のイベント案内、自転車歴史関係書籍の評論、博物館ニュース、
IVCAの近況、イベントのレポート、売買欄など。
本年のIVCAラリーは、ドイツのWiesbadenで5月16日から19日の4日間開催される。
書籍の評論では、フランス在住の小林恵三氏の「ドライジーネからミショー・1817-1870」が紹介され、彼の歴史分析、具体性、立証、記述の正確さが評価されている。
IVCAラリーの目的は、友好融和、諸情報の交換等で、自転車の歴史に関心を持つ凡ての人々との交流の場である。

★世界最初の自動車レース
年の暮れ NHKのBS1チャンネルで「世界初の自動車レース」が再放送された。
確か夏頃に一度見ているが、残念ながらまたしてもビデオに撮るのを忘れてしまった。
100年前の自動車を300キロ(ボルドー、パリ間)も走らせてしまったのには感動した。
1895年6月11日、フランスで行われた世界最初の自動車レースを再現。
参加自動車は、パナール&ルヴァソール、プジョー、ド・デイオンプートンなど。
このレースは、パナールの子孫が企画し時年6月に実施されたもの。
パナール&ルヴァソールは、日本に最初に入った自動車でもある。この辺のことは、齊藤俊彦 著「轍の文化史」(ダイヤモンド社、92年11月発行)を参照されたい。

★八神氏からのレター
私は、自転車及びその関連品を収集し、資料館を設立しようと考えています。自転車さえ付いていれば何でも求めますのでご支援下さい。
もちろん古い実車もお願いします。自転車以外のアイテム(マッチ、たばこ、絵葉書、その他の印刷物)で主として昭和30年代、40年代のものに興味ある方ご連絡下さい。お分けします。

★口之津の資料館
自転車文化センターの渋谷次長からの情報によると、長崎県の口之津町の郷土資料館に古い自転車が保管されているとか。まだ、詳しいことは分かっていないが、あるいは明治期の自転車があるのかもしれない。
近いうちに調査したい。

★芦田コレクション
東京品川の芹田洪太郎氏のコレクションについては、以前から一度見たいと思っていたが、
このほどやっとその機会が訪れた。
芹田ビルのアトリエに彼のコレクションはあった。
まず目についたのは、壁にかけられた山口自転車の大きなボスター。その側には、やはり山口のマークの入った鉄瓶が無造作に置かれていた。
その他、引き札、金文字看板、古いランプ類、絵葉書、山口レポートや宮田ニュース等の戦前の資料類等々。
中でも興味を引いたのは、クリープラントの曲乗り用自転車だ。明治期のものか大正期か、定かではないが、かなり古いことは確かだ。タイヤが無いものの保存状態は良い。
国産の実車では、昭和30年代の実用車が4、5台あった。
外国車では、ルネエルスがレストア中のものを含め7台もあったのには驚かされた。

「自転車と文学・小説にあらわれた自転車」

その四 八塚利秀
竹内文子 短歌集「自転車遊行」(砂子屋書房 刊)
風凪げば自転車こぎて陸橋のゆるく反れるを見てをりしばし
暮れぎはのわが自転車のさびしかり軸かたむけて立てる自転車
懸命に真北へむかふ自転車にぎやばと吹く風雪したがへて
自転車を漕ぎてゆかむかわが額に光あつめし青柳触れむ
風に向き自転車漕ぎてゆくごとくかの世の岸はゆくにやあらむ

 竹内文子さんは、私が図書館で図書目録を引いていたら、『自転車』という題が目にとまり、神田にある詩集の版元へ出かけ、作品をコピーさせて頂いた。 ご本人の年齢は不明だが50~60歳の方か。豊橋市の方である。何処へ行くにも自転車を利用しているのだろうか。次作刊行も予定しているそうだ。

写真集から ー和歌山ー (24)
須賀繁雄
今回の写真は
ふるさとの想い出 写真集 明治大正昭和 松阪 明和
田畑美穂 著、平成元年10月 図書刊行会発行より

 いまの宅配便ができるまで、汽車、電車を利用しての飛脚便は、名古屋、大阪、京都の問屋との取引などにけっこう利用された。また、和歌山街道(現・166号線)沿線の農山村へは、大八車に箱を載せた飛脚屋が昭和初期まで毎日通っており、軒先に小さな旗などの目印を出しておくと寄ってくれて、届け物や買い物を頼むのに便利であった。一服ついでの話も互いの楽しみでもあった。

193 [飛脚屋]大正期