2022年2月10日木曜日

自転車関係資料-77

 自転車関係資料-77

この資料は月刊雑誌の「サイクル」1958年7月号である。

この号は東京で開催された第3回アジア競技大会の自転車競技を特集。

以下にその本文の一部抜粋

第三回アジア競技大会は、五月二十四日、神宮外苑の主競技場に於て、盛大な開会式を挙行後、二十四日から、各競技場に於て各種の競技が参加アジア各国選手によって開始された。天候は真夏の暑さを思わせる不順の高温ではあったが、会期中幸いにも晴天続きに終始し、各競技を順調に進行せしめる上に幸であった。

自転車競技は、二十五日よりピストレースを後楽園競技場で、又最後のロードレースを八王子市を中心とする、日野、立川、昭島、拝島を七周廻する百五十三㎞のコースで行われた。参加選手は、ベトナム、パキスタン、イラン、中国、フィリッピン、韓国、日本の七カ国で日本に於てかく多数の外国選手を集めての、国際自転車レースは始めての事であり、大会役員も万全の準備を整えた。幸にピストレース場は、後楽園競技場があるため、特別の設備を要せず、発走、計時、決勝審判方法等に就ても、夫々専門的知識を有する為便利であった。

只主競技場が、入場券の売過ぎで、入場不可能者を多く出し問題を起したとは逆に、最後のロードレースが多数の観衆を集めた以外は、後楽園競技場は殆ど連日、百名に満たぬ観客を集めたに過ぎず、二日目から主競技場に這入れなかった学生生徒を五十名乃至二三百名を収容したに過ぎない寂寥たるもので、競技者も張合抜けの体で、一向に熱の上らなかった事は淋しい極みであった。尤も自転車競技の後で、サッカーの競技を加えたとは云うものの、参加選手の少なかった事が原因ではあるが毎日の競技回数も少なく、エキシビションとして、日本選手十数名によるポイントレースを始め各種自転車競技を加えたとは云え、一時間乃至二時間程度で、一日の競技が終了する有様で、観衆の興味が薄かったによるものと思われる。

外国選手の中には、後楽園競技場の様なバンクのある競技場で走った経験が無く、不利であった者もあり、多くは日本選手の独壇上の感があり、この競技場で行われた、スクラッチ、タイムトライアル、団体追抜、タンデムの四種目は総て日本側の優勝と云う一方的の勝利に終った。

とある。この記事ではろいろな問題点も指摘されていて興味深い。

以下はこのブログでも度々登場した大沢鉄男選手の1000mタイムトライアルの結果である。

アジア大会記録
1000Mタイムトライアル

1 大沢鉄男(日本) 1’14”8(大会新)
2 ゴレタラブ(イラン) 1'15”1 ( ” )
3チャン・ヤン・ネン(ベトナム)  1’22”2
4 S・Mフアルーキ(パキスタン)  1’23"2
世界記録  1’08”5 ドウポン(仏) (1948)
日本記録  1’13”3 大沢鉄男(日本) メルボルン (1956)
アジア大会記録  1’20”2 杉原鏘一郎(日本) ニュデリー(1951)

「サイクル」1958年7月号

目次

同上


千米タイムトライアル
①大沢鉄男 (日本) 一分一四秒八 
②ゴレタラブ (イラン) 一分一五秒一
③チャン・ヤン・ネン(ベトナム) 一分二二秒二
④フアルーキ(パキスタン) 一分二三秒二

以下も本文の一部を抜粋
大沢とゴレタラブの勝負であることは、最初から予想されたが、大沢としてはゴレタラブを強敵と思わず、勝利は確信して居るので、寧ろ記録更新を目指しての出走であったが、調子が出ず、前半後半のタイムが思うように出なかったので一分一四秒八で、アジア記録杉原の一分二〇秒二を破った。ゴレタラブは大沢に破れはしたが、健実な走り方で、後半のダッシュは物凄くアワャ大沢を破るのでは無いかと思われた。大沢選手はこれによって、自転車レースとしては最初の日章旗を挙げ、表彰台に立ち、金メダルを獲得した。国旗の掲揚と君が代の奏楽は自衛隊の手によって行われた。

1000mタイムトライアルの結果

大沢選手の略歴 24頁

以下はロードの結果 韓国勢が金メダルを独占

ロードレース 153㎞(八王子ー日野ー拝島ー八王子、周回7回)
個人
1 リー・オン・プ (韓国) 4H 53’20"
2 ルー・トヴ・チュン (韓国) 4H 59'45'8
3 キム・ウー・スン (韓国) 4H 59'46'1
4 徳増武彦(日本) 4H 59'47"2
6 イム・サン・イウ(韓国) 5H 02' 41'4
7 高橋弥重蔵(日本) 5H 02'41"4
8 星 勝太郎(日本) 5H 02'41'5
9 飯田 洋(日本) 5H 02'41”9
10 ゴタンリエ (ベトナム) 5H 02'42"1
11 レヤンチョン  (ベトナム) 5H 02'43"1
12 チャン・ヤン・ネン (ベトナム) 5H 02'43”2
13 ポアン・タンチェ (中国) 5H 02'43'5
14 ラク・シューリヨン(中国) 5H 02'44"4
15 モハメド・アシク(パキスタン) 5H 06’03”
16 チュン・ボーチュン(中国) 5H 07' 44”9

団体
1 韓国        14H 52'51"7
2日本     15H 05’60"1
3 ベトナム  15H 05’11”3
4中国     15H 13’12"8

ロードレースの結果 26頁

第2周 八高線ガード付近 24頁

日野橋 山本秀男氏撮影
口絵の頁