2022年2月24日木曜日

自転車関係資料-85

  自転車関係資料-85

この資料は雑誌「ニューサイクリング」1969年10月号である。

この号の記事の中に名工(自転車フレーム製作)と云われている梶原氏の投稿記事があったので以下に紹介する。

美しいロードレーサーフレームへの追及(一部抜粋)
梶原利夫
自転車の持つ美しさの秘密
ヨーロッパには名車といわれるものがある。私が自転車に興味を持ち始めて以来実際にそのいくつかを見て、多くの秘密を知り、次第に名車の工芸品としての作品の深みや、それを支える考え方や、土性骨のようなものに興味を持ちはじめ、次第にそれにとらえられたような気がする。そしてこれらの作品から得た知識を素に作り上げたのが、此処に紹介する自転車だが、とくに私がもっとも関心の深いフレームは約一年余りの歳月を掛け、構想を練り、作り上げた。
その点で以下の写真や資料から、工芸品としての風貌なり、パーソナリティなどを感じ取って戴ければ幸いである。
欧州の名車と言われるフレームは、まず堅実で、地味でオーソドックスで有り、洗練とキメ細さを私達に物語ってくれる。
或る作品では隅々まで細かい計算と神経が行き届いており、或る作品はふくよかな円みや軽やかな幼想に含んでおり、又或る作品は使いこなしたサドルの様な、古風で柔軟な感触さえ感じさせるのである。それはこれらのフレームのラグが、あたかも本物の貝殻の如く薄くて奇麗である。そして例外なくと言って良い程「ねじれた平行四辺形」であるか「ゆがんだ壔面」である。即ち「ハイボリック・パラボロイド(HP)」である。必ず2方向に曲線を持った「馬の鞍形」が基調となっている。(第1図)そして或る部分に於いてはその原形を殆ど感じさせない程消化され変装され、巧みに組合わされているのである。これがフレームに於いて造形美を遺憾なく発揮するのである。

以下は資料提供してくれた渋谷氏のコメント(Facebookより)、
NC誌を読み始めた頃60年代後半が懐かしい。昨日69年10月号は印象深い記事が多い。その中で梶原利夫氏「美しいロードレーサーフレーム」の記事は書いてある文は理解しにくいけど5枚の写真にくぎ付けになった。この記事後当時26歳の梶原氏は選手や好事家の間で名人と言われるようになった。
 またミヤタの沼勉氏も梶原氏を訪ねレーシングチームのマシンの製作を依頼した。その後コガミヤタチームのフレーム製作してピーター・ビネン(Peter Winnen) が81年ツール新人賞を獲得した。美しさだけでなく実戦での成果を示した。

下の2枚の写真はミヤタレーシング・チームのキャプテンでもあった森 幸春選手が1980年代に使用したミヤタ・ロードレーサーで、フレームを製作したのは梶原利夫氏。

表紙
資料提供:渋谷良二氏

30頁

31頁

32頁

33頁

森 幸春選手の使用したロードレーサー
写真提供:渋谷良二氏

同上