2009年3月3日火曜日

ビカートン

 ビカートン(Bickerton)という名前は、恐ろしいピカドンを連想しますが、この自転車は英国正統の流れをくむ折畳式のポータブル自転車です。例のロールスロイスの技術者が設計しました。車体はすべて軽合金で作られ、洒落たデザインの自転車です。先に私はこのブログで、折畳自転車を2台所有していますと書きましたが、実はこのビカートンを入れるのをすっかり忘れていました。ですから、ポーターシルク、ブロンプトンそしてこのビカートンの3台になります。この自転車を手に入れるきっかけとなったのは、昭和50年4月のある日でした。たまたま「サイクリング」(英国の週刊誌)を眺めていたとき、ビカートンの写真と記事が目にとまりました。それ以来、この自転車が気になり、いつまでも頭を離れませんでした。そして、昭和50年11月13日、ビカートンを求めて、羽田を飛び立ちました。当時は、シベリア上空を日本の旅客機は飛べませんでしたので、アンカレッジ経由の長旅となりました。コペンハーゲン、フランスを経由して、ヒースローに到着したのは、日本をたって26時間が過ぎていました。着いた当日は、夕食をホテルでとり、すぐに寝てしまいました。10時間以上寝たと思います。翌朝からビカートンをもとめて街にでました。最初にグレーズ・イン・ロードにあるコンドル自転車店を訪ねました。店内にはこの店のオリジナルのフレームがたくさん天井から下がっていました。他にラレー、イーグルなどの自転車もありましたが、お目当てのビカートンはありませんでした。この日は、その他の店もまわりましたが、結局どこにもありませんでした。翌日は、ケニングトン・ロードのF.W.エバンスを尋ねました。地下鉄を降りキョロキョロしながら探しましたが、すぐにその店は見つかりました。店に入るといきなりビカートンが目に飛び込んできました。私は英語が苦手なので、値引き交渉に手間取りましたが、どうにか商談もまとまり購入することができました。帰りはこの店から、ホテルがあるケンジントンまで、ビカートンでサイクリングを楽しみました。ビカートンに乗ってみてはじめて分かったことは、フレームの硬性がまったくなくたわみが大きいことでした。ペダルを踏むと力が抜けるような感じでした。これは軽合金とヘッ ド小物などにプラスチックを使用しているためです。それに簡便に折畳できるのはよいのですが、これらの脱着装置部分からも力が逃げていくようでした。でもコンパクトに畳めて、持ち運びの便利さを考えればこれらの欠点をカバーすると思い、なんとなく納得しました。

 ビカートンは、英国のハリー・ビカートンが設計したポータブル自転車です。1971年から1991年まで製造されました。ハリー・ビカートンは、ロールスロイスの技術者でもありました。