2023年4月3日月曜日

スティーブンス相撲を見る

 スティーブンス相撲を見る

スティーブンスは、静岡~興津~由比~蒲原~岩渕~吉原を経由して三島に到着する。

三島大社でのお祭りを見学した後に、スティーブンスは、宿の近くで興行していた相撲を初めて見る。

468頁
力士
THE WRESTLERS AT MISHIMA
「AROUND THE WORLD ON A BICYCLE」1889年版

吉原から16マイル離れたとき、私の今夜の目的地である三島に到着する。
ここでは山の神である大山祇神を祀る三島大社に立ち寄る。ちょうど例祭が行われていた。 
広大な境内には、行商人、香具師の露店、射的などあらゆる種類のアトラクションがあり、カントリーフェアのような外観を呈していた。
自転車を外に置いてぶらぶらと歩く。参道の両側にある神聖な池(神池)には、鯉が群がっている。人々は鯉に餌をあげるために麩を購入して、それを池に投げていた。

私が泊まっている宿屋の近くの板張りの囲いの中で、相撲をしていた。十数人の力士が、一人二銭の入場料をとって大勢の人々を楽しませていた。
日本の力士は独特の階級や身分を形成し、長い慣習によって普通の社会から切り離されており、彼らは自分の職業の娘以外と結婚することに対して偏見を持っていた。
体格が大きく、より筋肉質な男は常に力士の一人として数えられてきたので、この排他性と身体的優劣との結果は、あたかも別の人種であるかのように見える。
 力士は、他の男性の平均より頭と肩が高く、体重は倍以上である。
12フィートの土俵の内で、たくましいアスリートがすべての力とスキルを発揮して、奮闘している。
厳格で重要な行司は、武士の家紋を付けた衣服を着て、軍配を振り回し、威厳ある声で審判をしている。

自転車を乗りながら走ることができない東海道の一部に、有名な箱根峠がある。
この道は三島から始まる。 三島の労働者は、駕籠を使って峠を越え、物資や乗客を運ぶことで生計を立てている。 
私は自転車を運んでもらうために数人の男を雇った。肌寒い天候になったので、駕籠には乗らず、彼らの後を追うように歩いて行った。道は荷馬車が通れるほど幅が広く、軍事的な輸送サービスを視野に入れて建設されたようである。

いよいよこれから箱根越えである。

スティーブンスが携帯した
「マレーのハンドブック」
1884年版

61頁
東海道の宿場