2023年8月16日水曜日

自転車関係資料 - 265

 自転車関係資料 - 265

「今世少年」 第1巻第4号 春陽堂 1900年(明治33年)7月23日発行

この「今世少年」は既に東野の旅行記でも紹介している。

同じ号の2か所で自転車を取り上げている。

明治30年代に入ると自転車が徐々に一般国民にも浸透してきた時代であるが、まだこの頃の自転車は高価で一部の富裕層の娯楽的な乗り物であった。

当時の銘柄としては、石川商会が取り扱っていたピアス、アイバンホー 、ノァウード、スネル、グレンドン、スー ダン、伊勢善のクレセント、双輪商会のデートンなどで殆どが米国製の自転車あった。


目次
「今世少年」 第1巻第4号 
国会図書館所蔵資料
以下同じ

51頁

奥付


自轉車談(上)
曙山生
自轉車といふものが我邦へ輸入されたのは、割合に久しき以前からであつて、其頃は二輪車といふものは、木製のガタ車でなければ、前輪の頗る大きい、後輪の頗る小さい車ばかりであつて、今の安全式といふものは皆無であった。
夫で是等の車を一時間三銭若しくは四銭で貸す店が、外神田の秋葉原に三四軒あつて、盛んに學生や丁稚先生の間に持て囃されて居たが、何時しか借馬と共に衰微して来た頃に、始めて安全式といふものが、横濱の波止場へ陸揚されたのである。
此安全式といふものは、外国でも至つて最近の發明であつて、これは前後輪共同一の大さで、歯車と鎖の仕掛で、非常の速力を与えるやうに成つて居る。・・・