2023年8月11日金曜日

はじめて自転車に乗ったあの日

 はじめて自転車に乗ったあの日

企画展 はじめて自転車に乗ったあの日

1997年3月1日~5月30日

このイベントは師勝町歴史民俗資料館(現在は昭和日常博物館)で開催された。

内容は、昭和30年代の自転車店の再現や当時の実用車、子供車を中心に展示。

その他、和製ダルマ自転車、ランプ、各種自転車マーク等。

特に注目されるのは、 自転車店の再現で、当時の雰囲気を彷彿させ、幼い頃の風景を思い出させてくれる。

見る人によっては、三角乗りで初めて自転車に乗れた時の感動を呼び戻してくれるのでは。

4月27日には、自転車とモーターバイクのミーティングも同会場で行われた。

昭和日常博物館の所在地:北名古屋市熊之庄御榊53番地


(情報と写真提供:冨成一也氏)

同上

左隅のダルマ自転車にも注目


私が初めて自転車に乗れたのは小学校2年生の時(1956年・昭和31年)である。秦野市立本町小学校の校庭で自転車乗りの練習が始まった。この校庭からは丹沢の表尾根である二ノ塔や三ノ塔などがよく見える。
 父の大きな黒塗りの実用車を引っ張り出してきて、校庭で自転車訓練の開始である。最初は自転車の後ろ荷台を兄に支えてもらいスタートする。当然、チビなのでサドルには跨げない。そこで当時の子供が誰でもやっていた三角乗りという方法である。最初は自転車のバランス感覚をつかむためペダルは漕がず、後ろから兄に押してもらう。自転車が少し加速したところで、知らない間に兄の手が荷台から少し離れる。転倒しそうになるとまたすぐに荷台を支えてもらう。だが何度も転倒し膝などをすりむく。このような試練を経て練習をかさねるうちに体がバランス感覚を覚え、後ろの兄がいつ手を放しても徐々にその走行距離が伸びてくる。最終的には自分だけの力でスタートできるようになる。これをさらに何度も繰り返すうちに、今度は両足を使って、三角乗りの状態でペダルを回転させる。直進だけであったものがハンドルを少し動かし方向転換もできるようになる。だがやはり何度も転ぶ。
この段階になると自転車に乗れたという感覚になり、楽しさは倍増する。徐々に自転車がコントロールできるようになった証拠でもある。学校から15時ごろ帰ると17時ごろまで雨が降らない限り練習を繰り返す。毎日、3時間以上は練習したはずである。
この練習が日課のようになってから1週間ぐらいして、かなり走行距離を延ばすことができるようになると、いよいよ校庭から一般道路に出ることになるが、自分の家の前の通称「醍醐道」は殆ど車が通らないので危険はない。ただ、水無川の北側方向にはすぐに坂があるので、三角乗りでは登ることができなかった。ここは自転車から降りて押すことになる。また、平たんになったところで自転車に乗る。
 自転車に乗れるようになると、大げさに云えば世界が広がったように思えてくる。どこでも行かれるような気分と感覚になる。自転車のすばらしさを初めて体感したのである。