チャールズ・モレル関連 - 2
「實業時論」第2巻 第1号 大日本實業學會 明治35年1月5日発行
註、下の記事と図は確かにチャールズ・モレルの折り畳み式自転車だが、ジェラール大尉やプジョーなどの記載もない。
ただ「佛蘭西で陸軍大演習のあった時、試験した折り畳みの出来る自轉車」とある。
流行
●流行の自轉車附自動車種々
近年自轉車の流行は世界各國到る所に盛大を極め、初は寧ろ贅沢品と思考されて居たが、今は実用品として種々の新方面に使用せられる様になった、商買人や郵便電信の配達夫などの外陸軍の方でも自轉車隊を編成して斥候や傳令などに使用するさうだが、歐米諸国では夙に之が試験を経て着々進步發達を計って居る、此間佛蘭西で陸軍大演習のあった時、試験した折り畳みの出来る自轉車は乗るとが出來ない時とか不用の時は「ホイール」をニッ折り重ねて背後に負て歩く事が出来るばかりでなく、休息をする時には「サッドル」の上に腰をかけて足を下へ付けて居るとの出来る様に構造せられて居るので、極めて好成績であったと云う軍用ばかりではなく遠い所へ乗り出すには此の式の車が自然行はるる様になるだらう、茲に掲げたのが右の自轉車の繪圖で「フレーム」は上方の「テェープ」を二本にして其直徑が大きいから、車體が堅固ばかりでなく、震動を滅殺するので、勞力を費すことが少なくなると云ふ長方形になって居る「フレーム」の右方の中程に關節があって、前後の「ホイール」を開閉する用に供し、場合によっては、此處で取りはづすことも出来る「ブレーク」も新式なのを附けてあるとのことであるが、此方はまだ委いことを聞かない、それはさておき此の頃我が國で流行の自轉車は「デートン」「コロンビア」「ウェストフィールド」が一番多い様で、一時優勢てあった「クリーヴランド」は少々下火の様に思はれる、新式は概して細造りで「ギヤー」や「ハンドル」は使用者の目的によって多少相違はある、鎖無もボッボツ見受るが、値段が少々高いのと機械が緻密なだけ破損し易い憂いがあるのとで、上品な金持の方々の中に稀に見るばかりだ、値段は種々だが下等百七八十圓より中が百四五十圓、普通百二三十圓の所だ、下は百圓九十圓位より七十圓位まであるが、ドーセ製造が粗末なだけ、保存が短い上に、割合に修繕費が多くかかるから結局得でもあるまい・・・