自轉車製造株式會社
明治36年3月10日発行の『輪友』第17号 66頁に那珂通世博士らが関与した「自轉車製造株式會社」という組織が設立された、という記事が載っていた。
以下がその記事
●自轉車製造株式會社の成立
紫原 和、三浦泰輔、那珂通世其他諸氏の発起に係る同會社は資本金を十五萬圓とし株式募集中なりしが頗る好況にて忽ち應募者満員となり夫々株式の割付も濟みたれば遠からず創立總會開會の運びに至るべしと云ふ
短い記事だが那珂通世らの名前があったので、目に留まる。
那珂 通世(なか みちよ、1851 -1908)は、南部藩出身の明治時代の歴史学者であり、自転車を趣味としていたことで知られている。度々この「輪友」にも登場する。
この記事にあるように自轉車製造株式會社の成立にも関与していたことは興味深い。何れにしてもただの自転車趣味人でなかったことは確かである。
三浦泰輔は、当時の実業家であり、甲武鉄道(現在は中央線の一部区間併合)の社長などにも就任している。その他の鉄道事業や食品会社、保険会社にも関係した人物である。元外務大臣の青木周蔵は、彼の実兄。
柴原 和(しばはら やわら)は、初代の千葉県令であり貴族院勅選議員などを務めている。
この自轉車製造株式會社の設立にあたり錚々たるメンバーが名をつらねていたことが分かる。
その後、この会社がどうなったかについては今後の調査が必要である。