2024年5月13日月曜日

仙臺新報 - 10

 仙臺新報 - 10

 「仙臺新報」第24號 仙臺新報社 1908年(明治41年)7月31日発行

自轉車旅行の注意(一部抜粋)

スヰフト商會 鈴木重行

自轉車旅行に就て、一般無經驗の人に参考となるべき點を左に述ぶれば。

 一、何れ旅行するには、自轉車と否とは問はず、朝は早く出發して、途中濫りに湯水を飲まぬやうにせなければならぬ、食後には餘に疾走せず、三四十分から一時間位は休んで出發してからは、途中で休む事はつつみ十分に車の惰力を利用して、緩急餘りに烈しくしてはならぬ、殊に注意すべきは、あまり急であっても又全く緩であつても、両方同じく疲勞するといふ點である。

 一 、携帯品は、凡て形の小さいものを選ぶべき事、命の親も邪魔になる腰辨當といふ句を味ふは、自轉車旅行で殊に痛切に感ぜられる。

一 、坂にかかるか、風に向つて進行する時には非常に妨げられる、この點は市内の乗輪とは大した差がある。荷物の大小、ギヤ(歯車)の大小に依っては、大分差のある事だから成可小さなものが宜い。

 一、坂を降下するには、完全なるブレーキを豫め備へて置くのが安全である、但しブレーキがない時か、不完全な時には下車して歩るくに如かずである。

 一、不案内の坂を下る時には、完全なるブレーキが備って居ても危険であるから、急降を慎まねばならぬ。

一、ギャケース及び泥除は雨路には必要であるが晴天なればない方が宜い、殊に向風も横に風をうける時などには非常な妨害になるが益は更にない。

一、サットルペダルの距離は、股下の寸尺より少なくとも二三时短くして、餘裕を作つて置く必要がある、ペダルを爪先にて踏むのは疲勞と危險の虞がある。

一 、可成常に使用して慣れた自轉車を使用る方が宜い。

一 、輸行中濫りに両手をハンドルから放したり又は左顧右眄するやうな事は慎まねばならぬ落車などの危険はこんな不注意から來るのである。・・・・


11頁
「仙臺新報」第24號 
国会図書館所蔵資料
以下同じ

12頁



●自轉車問答(一部抜粋)

▲英國製ダンロップタイヤーを附して乗用し来りしが石川商会のケー、アイ、シータイヤを取附くるには別にリムを取換える必要なきや、又たリムを取換ふる時は幾インチのリムと取換ふべきや (大河原SK生)

△英國製タイヤ針金入ダンロップなればリムを取換へざる可からざるも引掛式ダンロップ タイヤなれば直ちに取換ふる事を得べし、而してタイヤは大低二十八吋のもの多し。

▲デートン號に和製のものありや(林生)

△神戸邊より非常に廉価なる異形のデートン號當地方にもボッボツ輸入し居るものある由なるが右は無論和製の擬似品なり。

◆英國製自轉車にして現下有名のものは何々なりや(相馬中村山下生)
△スヰフト、ハンバー、センター、ラーヂ等諸會社製造の車輛なり。

▲ニューデパアチュアコースターにも和製のものありや「石卷町TN生) 

△大坂にて盛んに僞造せしも販賣人處刑せられてより其跡を絶てりと聞けり。

▲前號の紙上に「ホーク」ニッケル鍍金製のものにて價格壹圓位のものある趣き記載しありしが果して之れありや (仙臺柳街輪士) 

△デートン形其他にて壹圓二三十錢のもの及前齒車にて壹圓以内のもの双輪商會に多數輸入し有る由に聞けり。・・・


17頁