三菱十字号 -2
下の写真は六つ折の十字号パンフレット。
ヂュラルミン製の特殊設計車体
軽快でスマートな新型自転車・十字号
緒言
自転車の歴史は随分古く現在のようなダイヤモンド形のフレームに前後同一直径の車輪を配した形式に成ったのは西暦1900年頃で、それ以来細部の構造には多少の変化があったが車体形式は略固してしまった。人々はこの形式をさらに改善しようとすること無く今日に及んでいる。然し一般の工業が非常な速度で進歩している今日、果してこの自転車の構造型式には改良の余地がないであろうか。これが一つのDUJEE号計画の動機である。又、戦時中航空機用材として多量に生産されたアルミニウム合金材は終戦と共に平和産業へ振向けられることに成った。そこでこの材料をもっとも有効に使うということも一つのDUJEE号自転車を計画した動機をなしている。最後に戦時中飛行機工場に設備された多くのプレスを活用しようということがDUJEE号設計の第三の動機である。この三つの動機を基礎として次に列挙するような条件を満たすようにDUJEE号は設計されている。
十字号の特徴
DUJEEの一般的特徴を列記すれば大體次の如きものである
強度 DUJEE號はー般自轉車に比べて約50%強い。
(1) DUJEE號は従來の形式に較べて25% 軽く 50%強い
(2) 女子も乗られて従来の女子用の如く弱くない
(3) サドル高調整範圍が広く、6呎から5呎位の者迄乗れる
(4) 構造が簡單なため度入が容易で修理が簡單である
従って維持に金がいらない
(5) 価格が高くない事
使用材料
車体の材料はおもにアルミニウム合金材(Duralumin) の2粍厚のものを用いハンドルはマグネシウム合金鋳物を用いてある。泥除は1粍のアルミニウム合金材で作ってある。
寸度
DUJEE号・規格自転車
車輪の主径 26 (600mm) ・同左
前フォーク回転軸の傾斜 66°1/2 66° 10
トレール 2.1/4(56mm) 2.1/4 (57mm)
その他ハンドルのサドルの泥除の関係寸度は全日本規格
一般用自転車と殆ど同一である
尚前フォークの部分が従来のものと異なっているように見えるがこれは構造が異なるのみで、ヘツド軸の角度及ヘツド軸と前輪との関係位置 (trail を以て表す)等一般自転車と全く変わらない。この関係は第一図十字号と規格自転車を重ねた全体図によって明瞭に解るであろう。
重量
DUJEE号は一般用自轉車に較べて約25%軽く動く
従来型式の75%の重量にすぎない。
その内訳を示せば次の通りである。
DUIEEE 規格車
全備重量 43lb(19.5㎏) 87lb(26㎏)
正規乗員重量 176lb(80㎏) 同左
荷載上正規重量 110lb(50㎏) 同左
十字號自轉車
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