丸石ピアス
下の写真は丸石ピアスである。
恐らく明治30年代後半の自転車と思われる。
当時の安全型自転車は現存するものが極めて少なく、貴重な自転車である。
現在はどこに保管されているか確認していないが、以前に自転車文化センターで展示されたことがあると記憶している。
なお、ピアスのエンブレムの変更事件については、明治36年7月31日付け萬朝報の記事を参照。
丸石ピアスの前部
1989年12月17日撮影
写真提供:植原 郭氏
エンブレムの部分を拡大
明治36年7月31日金曜日発行の萬朝報 第3550号 4頁に石川商会の広告などが載っている。
銘柄車の米国製ピアス号は石川商会の一手販売であったが、その後別ルートで中古車などを輸入した業者がフレームを塗替えて販売する悪質なケースなどがあとを絶たなかった。それと横浜のアンドリュース&ジョージ合名会社も似たようなマークを使用しはじめたため石川商会ではやむなくピアスのマークを下の写真にある丸石ピアスに商標変更するという思い切った手段に出たのである。
このような事情により明治36年7月31日付けの萬朝報に「輪界に警告す」というタイトルで、商標変更について掲載した。
従来のピアス号の自転車にPのマークであれば、明治36年7月以前のピアス号であり、丸石のピアスであれば明治36年7月から明治41年までということになる。
丸石ピアスのマーク
1903年