2023年9月18日月曜日

南アルプススーパー林道サイクリング

 南アルプススーパー林道サイクリング

渋谷良二

かれこれ30年近くになり記憶も薄れているが、1995年の初秋に南アルプススーパー林道をサイクリングしたことを、知人との会話(杖突峠など)の中で思い出す。

確か写真もあるはずと古いアルバムを探したら出てきた。

このサイクリングは当時の職場の同僚である平林さんが同行した。

アルバムに書かれてある旅程を見ると、次のようにある。

1995年(平成7年)9月1日~2日

茅野駅~杖突峠~高遠~美和湖~長谷村(仙流荘泊)~北沢峠(村営バス)広河原~野呂川林道・夜叉神~芦安~竜王駅。

とある。

茅野駅までは輪行し、この駅で下車して輪行袋から愛車を出す。この日の自転車は携行に便利なモールトンGTである。平林氏はオーソドックスなトーエイ・ランドナーである。

茅野駅からこの日の宿泊場所である仙流荘までの距離は約40㎞である。スタートしてからまもなく杖突峠の登りが始まる。一日目なのでまだ余裕であったが、さすがに峠近くに近づいて来ると大汗もかき疲労も感じた。

杖突峠からはやや下り坂の道が高遠まで続く。この国道152号は景色を見るゆとりもあり、風が心地よく快適に走ることが出来た。

高遠では平林さんが江島の史蹟を見たいと云うので立ち寄る。

江島についてはご存じと思うが、すこし触れると、

江島生島事件は歌舞伎や小説などで有名である。江戸時代中期に江戸城大奥年寄の江島が人気歌舞伎役者の生島新五郎らを相手に遊興、それがスキャンダルに発展し、多くの関係が処罰された事件である。

江島はその罪でこの高遠に遠流となり、ここの「江島囲み屋敷」で26年間も幽閉され、この地で没した。

この史跡などを見たあと、美和湖経由でこの日の宿である長谷村の仙流荘へ向かう。

翌日は朝早くに目が覚め、朝食後に本日のコースの確認と準備を始める。長谷村から北沢峠、広河原へは村営バスを利用。このバスの利用者の殆どは登山者である。サイクリングは我々の二人だけ。

北沢峠は、山梨県南アルプス市と長野県伊那市の境界にある峠で、標高は2,032m。甲斐駒ヶ岳や仙丈ヶ岳などへの登山拠点となっている。

北沢峠を過ぎ広河原からはバスを降り、輪行袋からモールトンを出す。いよいよ初めての南アルプススーパー林道のサイクリングが始まる。

この日のスタート地点の広河原は、日本第二の高峰・北岳の登山口であり、標高は1,592m。夏から秋に多くの登山者が訪れる。

広河原から夜叉神峠までの距離は、約23km。

南側に聳えているはずの雄大な北岳は生憎ガスがかかっていて見えなかった。

途中、何回か休憩し、水分補給をしながら周辺の山々や眼下の野呂川などを眺める。この景気を眺めているだけで疲れも癒えてくる。

終盤の登りを過ぎると、夜叉神トンネルが見えてくる。スーパー林道は標高が高いせいで夏でも涼しくトンネル内は寒いくらいであった。このトンネルを越えれば夜叉神峠である。標高は1770mで、ここから眺める北岳や間ノ岳はまさに絶景であるはずだが相変らずガスがかかっている。

夜叉神峠から芦安経由の竜王駅までの距離は、約30kmである。ここからまた後半のサイクリングが始まる。

周辺の景色を堪能した後、ここから芦安までは急な下りが続く。カーブも多く緊張する。

モールトンのブレーキをかけ続けていたので、芦安に着いたときは、発火するのではないかと思うほど、リムとブレーキシューが高温になっていた。これは小径車輪の欠点とも云える。

どうにか芦安に到着したが、帰りの乗車駅は竜王駅と決めていたので、更にサイクリングを続け、何とか竜王駅までたどり着く。

ここでモールトンを輪行袋に詰め、疲れと思い出も電車に載せて帰路に着く。


茅野市観光案内所

杖突街道

江島の史蹟へ

美和湖

北沢峠

眼下に野呂川
南アルプススーパー林道

夜叉神トンネル