2020年11月15日日曜日

老舗さんぽ ⑨

 先日、小田原の岩瀬自転車店(小田原市浜町1丁目1−37)を訪ねた。

訪ねたと言っても、たまたま店の前を自転車で通過した時に目に留まったのである。
丁度、三代目の店主が後輪のパンク修理をしていて、少しお話を伺うことができた。
この店も創業は古く大正の震災後のようだ。昭和4年発行の全国自転車業組合聯合会会員名鑑に出ていて、小田原町新玉3-441、岩瀬谷五郎とあり、初代の店主は岩瀬谷五郎さんであることが分かる。しかし、昭和12年発行の全国輪界興信名鑑には岩瀬斧五郎ともあり、どちらかが誤字?であるようだ。再度、伺ったときにでも、この名前を確認したい。
先ほどのパンク修理中の自転車を眺めると、チェーンは錆びだらけで、前輪のリムが歪んでいて、回転させるとブレーキパッドに当たり、回転が止まってしまう。この自転車の所有者の性格を見た思いがした。このような自転車を修理するのであるから、自転車屋さんも一苦労である。「店の中を見せてください」と言ったところ、快諾してくれて、専用工具なども見せていただいた。店の入り口の右側にはショーケースがあり、初期の仮面ラーダーなどのフィギュアがたくさん陳列されていて、この手のマニア垂涎のアイテムが並ぶ。
丁度このフィギュアなどを見ていると、お客が来て「後ろのタイヤの空気が数日でぬけるから見てほしい」とのこと、どうもバルブの虫ゴムが原因ではないかと思っていたら、店主も客に2,3質問してから、やはり虫ゴムを交換した。手際よい判断と修理であったと思う。

岩瀬自転車店の店舗

東京・旗屋の工具
スポーク切り


この店を後にして、また野地サイクルに向かった。丁度三代目の店主がいて、初代店主の生まれた年をお聞きした。明治32年頃とのことで、だいたい私が想像していた年であった。
先の写真の説明(老舗さんぽ ➅を参照)でも明治後期か大正初期と書いたが、或は大正4年頃かもしれない。この店の創業が大正13年であるから、既に大正初期から自転車競技を初めていて、若い頃からたいへん自転車に興味を持っていたことが分かる。それとも父親の影響だろうか。この辺になると推測になるので、ここでこの話はやめる。
この店のお気に入りである工具箱を見ていたら、ボールペンぐらいの大きさの工具がその側面に掛けてあった。先端にバルブの口がついていて、どうも携帯型の空気入れと思われた。下の写真がその工具である。形状からしてこれもレトロな工具である。
後ほど調べてみたい。

野地サイクルにて

このレトロ工具は
携帯型の空気入れか?