コッタードクランクやペダルの分解まで及び、これを学習すると近所にある自転車屋さんの手伝いもできるほどである。
この時代、それだけ自転車が身近で重要視され、適切な教材として採用されている。
自転車の最低限の知識として当時誰もがこの教科書で学習したのである。
裏表紙には、生徒の名前も複数記入され、兄弟で使いまわしして学習したことも分かる。ものを大切にした時代の一端も伺える。
男子用の教科書とあるが、とし子さんの名前も見える。
下は教師用の教科書に書かれている要旨で、次のようにある。
要旨自転車の分解、組立及び手入れをさせ、交通機関としての自転車について、その構造及び機能の大要を理会し、その操作に習熟させると共に、一般機械の取扱ひの基礎を養ふ。
本教材は初等科工作一の13「自動車」初等科工作二の13「自動車」等の車輛に関する教材の発展として取扱い、日常生活上、産業上、国防上欠くことのできない交通機関としての自転車を整備し操作し得る知識、技能を修得させる。また初等科工作二の12 「機械ノアツカヒ方」初等科工作三の「ベルトノ組立」「バリカント糸鋸機」等の発展として、ねじ、ばね、てこ、鎖歯車、弁、ピン、軸受等機械の諸要素について、その機能を理会させ、その取扱ひに習熟させるのである。
理数科理科の「自転車」(五時限)と一体とし合計九時限を以て授業を実施する。
とある、
「日常生活上、産業上、国防上欠くことのできない交通機関としての自転車を整備し操作し得る知識、技能を修得させる。」
「国防上」など、この時代を反映した字句が散見され興味深い。