2022年12月14日水曜日

自転車関係資料-215

 自転車関係資料-215

この雑誌は「トランヴェール」1990年1月号 №21

中村春吉の記事があるので紹介する。

この雑誌は以前、横田順彌氏から寄贈していただいたもの。

表紙

12、13頁

14頁

一部抜粋、
中村春吉
自転車で世界旅行を敢行した探険家
明治五年、広島県生まれ。明治三十四年から三十五年にかけて、自転車無銭世界旅行なるものをやってのけた男である。残された数枚の写真を見るとそのいでたちがものすごい。右の写真はこぎれいなほうだが、実際は「インドの猟師かトランスヴァールの義勇兵のような服装」(横田順彌氏)で、しかも肩には「世界漫遊者 中村春吉」と選挙の襷のようなものをかけていたという。また自転車にはありとあらゆる生活必需品がくくりつけられ、食糧からテント、布団、蚊帳、ランプなどの雑貨類まで、その重量は20kgを超えていた。
ヒマラヤでは狼に、インドでは黒豹に襲われ、死に物狂いの闘いをした。小柄のわりに怪力の持ち主だったようで、食いつこうとするジャッカルを押さえつけ、その口を持参していた畳針で縫いつけてしまったというからすごいヤツだ!

押川春浪との共著「自転車世界無銭旅行」 (明治四十二年)。

中村直吉
アマゾン探険で有名な無銭旅行の王者
慶応二年、愛知県生まれ。明治三十四年から四十一年にかけて、六〇カ国、十五万マイルの世界一周無銭旅行をした男である。 生来の旅行好きで、明治二十一年に出発した北米旅行などは、新婚時代にプイと出かけ、帰国したときには初めて見たわが子が十歳になっていたというから徹底している。
直吉の世界一周旅行については、押川春浪との共著(口述筆記で押川がまとめた)全五巻「五大州探検記」シリーズがある。
その序文には、無銭旅行などというと乞食をしてまわったと思うバカモノがいるがとんでもない話だといい「我輩自ら世界的大舞台の上に立ち、炬の如き眼光を以て日本を富ましむる途を発見し、曳いては群雄割拠の商業的戦争に於て、宜しく全世界を併合すべし」と檄文調での旅の目的を語っている。直吉はアマゾン探険をした最初の日本人だったという説もある。「五大州探検記 亜細亜大陸旅行」(明治四十一年)。

註、中村春吉と中村直吉、兄弟のような名前だが、まったくの他人である。