偽物デートン号
当時のサイクリストに人気のあったデートン号やピアス号などを巡っては、その自転車の偽物や商標の偽造が横行した時期でもあった。その一例が下の「輪友」記事である。
明治36年8月5日発行「輪友」第22号 59頁
●デートン号に就て
快速堅牢高尚優美なるを以て我輪界に非常なる好評を博せし双輪商會直輸入のデート号に昨年來偽物若くは粗製品の現はれし事は聞くが儘に報道を怠らざらしが同商會にては自己の迷惑と輪士諸君の此等奸商の毒手に罹るを憂ひ昨年來種々手を盡して其撲滅策を講じたる結果偽物は大抵其跡を絶ちたるも尚デート号製造会社が桑港(サンフランシスコ)向として製出せる安物を桑港なるエゼントの手を経て窃に輸入し之を同商会が日本向に特別に注文し輸入してるものと欺き販売せる奸商あるにより今回同商會にては此の桑港向粗製安物のデート号をも輸入し以て従来同商會が特に注文して日本向に製造せしめ居るデートン号と如何に其構造装飾等の点に於て相違せるかを我輪界に紹介する由なれば從來毒牙を逞ふしたる妊商も愈々退治し盡さるるに至るべし
双輪商会の緊急広告
明治36年8月5日発行「輪友」第22号