バンドブレーキ
先般から自転車用バンドブレーキが気になっている。
なぜ取扱いに不便なバンドブレーキがいまだに実用車のスタンダードとして付いているのか、という疑問である。
不便と感じているのは私だけであろうか。前にも述べたように後輪のパンク時の修理やタイヤ交換に厄介と思うからである。キャリパーブレーキであれば、簡単に後輪のタイヤ交換ができるのだが、なぜいまだにバンドブレーキ(サーボブレーキ)なのかよくわからない。利点の一つはメンテナンスフリーともいわれているが、私の自転車は整備が悪いせいかブレーキをかけると時々キーキーと音がするし、ブレーキのききもあまりよくない。
そこで、何時ごろからこのバンドブレーキが現れたのか、少し調べてみた。どうやら昭和初期からで、当時の自転車商名鑑などの広告にでてくる。大正期も当たってみたが、殆どがコースターブレーキで、いまのところバンドブレーキは出てこない。
下に名鑑に現れたバンドブレーキの広告を載せた。
因みにバンドブレーキの製造会社で有名なのは唐沢製作所である。
同社のHPで沿革などを見ると、唐沢商店の創業が1920年(大正9)で、総冠式バンドブレーキを1928年(昭和3)に世界で初めて開発し、特許権取得とある。
しかし、当時の名鑑などを見ると、唐沢の名前は出てこない。
一般の小売り販売の自転車商としては、昭和10年の名鑑に下谷区御徒町3-39、唐沢義之助が出ている。昭和12年の名鑑には下谷区御徒町3-79、唐沢覚司とあり、住所と名前が違っているが、おそらく同じ自転車商と思われる。
バンドブレーキの製作所で名鑑に度々登場しているのがオギタ製作所、東京市浅草区神吉町である。昭和4年の広告には「旭日昇天 輪界の好評嘖々(さくさく)たる 特許バンドブレーキ」と、大仰に宣伝している。
これがいまのところバンドブレーキで一番古い広告であり、それ以前は出てこない。大正期は勿論見当たらない。しかし、今後も大正期を含め調査したいと考えている。大正期の広告は殆どがコースターブレーキである。