2021年6月2日水曜日

老舗さんぽ㊴

 老舗さんぽ㊴

今回の「老舗さんぽ」も一気に北海道から英国に飛ぶ。

目指すはロンドンのF・W・エバンズ( Frederick.W.Evans)自転車店である。目指すと言っても別に実際に行くわけではない。いつものGoogleストリートビューでの散歩である。

先ずは1975年11月の以下の記事から話を進める。

翌日はケニングトン・ロードのF・W・エバンズ店を目指す。
期待と不安と複雑な気持で店の前に立つ。その時、私の心臓は激しく鼓動し、血液が一気に脳天にのぼった。視線はウインドウの一枚の紙片に釘づけとなった、「サイクリング」誌の1月4日号(1975年)ではないか。店内に入る。
アッタ。しかしハンドルに下げられた値段を見た瞬間、喜びはとたんに、暗澹となる。125ポンド・・・手持予算額は114ポンドしかない。どうしよう。
Could you make better price.I came to buy  from Japan.
たどたどしい発音で述べる。相手の言うことがワカラナイ。ついに筆談となる。息詰まる沈黙・・・ネバル、・・・最後の提案、104ポンド、税金10ポンド、相手のあきれ顔、暫くしてニコリと笑ってくれた。
Thank you 私の物になったのだ。
ホテルのあるケンジントンまで10キロ。早速、ペダルを踏む。ぐっと脚に力を入れるとフレームはたわむ。ペダリングの感触は五体をくすぐる。
ヨーロッパの名橋ウェストミンスター橋を渡る。テムズ川は茶色に濁っているが流れは豊かである。左側にイギリスの象徴であるビッグベンの時計台がそそり立つ。まさにイギリスに来たという実感である。尖塔が林立する国会議事堂に感動し、対岸のスコットランドヤードを望みなから、サイクリングを楽しむ。

以上がF・W・エバンズ自転車店を訪ねた時の記事である。
あれから45年になる。いまでは懐かしい思い出だ。

このF・W・エバンズ (F.W Evans Cycles) の沿革について少し触れると、

1921 年、F.W. エヴァンス サイクルの最初の店がロンドン南東部のケニントン ロードにオープン。ショップ兼フレームビルダーとして徐々に知られるようになる。
1925年には、英国で最も権威あるサイクリスト・ツーリング・クラブ (CTC) から自転車の設計、製作などが優れていると評価され銀製の盾を受賞している。

現在はエヴァンス サイクルとしてフレイザーズ・グループ(Frasers Group)の傘下にある。今年でちょうど100年を迎える。

現在のエヴァンス・サイクル
Googleストリートビューより

エヴァンス・サイクルの場所
グーグルマップより

F・W・エバンズ で購入したビカートン(Bickerton)
フレームにF.W Evansのシール