2021年6月7日月曜日

自転車関係資料⑰

 自転車関係資料⑰

この資料は山本タイムスの商報で、1916年(大正5)4月号第11号である。
本来ならば前頁載せたいところであるが、煩瑣なので気になった部分のみ掲載する。

①先ず表紙、斜め赤帯に金牌号とあり、洒落たデザインで人目を惹く。
金牌号は、山本商店(東京市神田区末広町壱番地)のブランド、
大典記念京都博覧会及び名古屋勧業協会でそれぞれ金賞を受賞とある。

山本商会の他の銘柄に、バルーン号、イロハ号、アラクチリー号、サアチライト号、ウエルス号、ビリケン号、ワイエム号、レストラー号、スヰート号、ラウド号などがある。

②は、フェンダーの風切りが目に留まる。この時期まだ風切り付は一般的ではない。
風切りについても、今後調査したい項目(パーツ類)の一つである。何時ごろからつけられるようになったとか、実用車で一般的になるのは何時ごろからとか。日本ではその後、独創的なデザインの風切りが多く現れるようになる。いまでは少数派だが風切りのコレクターも居るほどである。
それにロッド式ブレーキやヘッド部のランプ掛け(ライト・フランジ或いはライト・ステー)も気になっている。
今も実用車に何故バンドブレーキやサーボブレーキが主流なのかもいまだに疑問である。メンテナンスも厄介とだと思う。それに後輪タイヤのパンク時やタイヤ交換時も面倒と思っているのは私だけか。

③は②の自転車部分を拡大、全体の形状について触れると、極めてシンプルで美しい。フォークの曲がりも素晴らしいと思う。何故最近のフォーク(特にスポーツ車)はヘッドから直接斜めでストレートなのか、どうも理解に苦しむ。直進安定性を犠牲にしてこのようにしたのはなぜなのか。たんなる製造工程の効率化なのか。
自転車の歴史に於いて、フォークの先端手前から徐々に湾曲して前輪ハブにつながるようになるのだが、この曲線は自転車の発展過程の一つ成果であったが、どうも最近のものはよく分からない。私も以前にフォークの曲がりのない自転車に乗ったことがあるが、低速になると前輪が振れ、直進安定性が欠けてくる。だいたいハンドルを手放しで乗れる自転車が精度から言っても良い自転車といまでも思っている。自転車の芯(フレームの精度)が出ていなかったり、ハンドル部に大きな篭などをつけていると10秒たりとも手放しはできない。フォークに付いているライトステーやライト本体でも当然片側にぶれる要因でもある。

④いずれも実用車向き堅牢フレーム

⑤ローソクランプ、自転車での実用性は?
アセチレンランプや石油ランプは分かるのだが。価格は52銭と安い。

⑥ヘッド・ランプ掛け
この金具小物がいつごろから採用されたのか(おそらくアセチレンランプを使用するようになった時期か)。そして昭和年代までは実用車には必ず付いていたが、いつのまにかライトがヘッド部からフォークに移動したことにより消えていった。
このランプ掛けも風切り同様、メイカーによりいろいろなデザインがあり、楽しむことが出来た自転車部品の一つであった。しかし、最近では無くなってしました。風切りもロッド式ブレーキもそしてこのランプ掛けもいまや過去の思い出になりつつある。さみしい限りだ。本来ライトは自転車の中央のヘッド部に取り付けるのが理想と考えている。

⑦この両立スタンド(両足スタンド)は、何時ごろから利用されるようになったか、先のロッド式ブレーキやランプ掛けとは相違して現在でも幅広く実用車に採用されている。後輪側では不安定で、少し風が吹くと転倒しやすいのだが。シングルスタンドでも然り。それに重量も無視できない。スタンドや先のサーボブレーキも同様である。なぜあえてこのような重いパーツを付けるのか理解しがたい。
センターの1本スタンドの方がましではと思っている。以前使用していたREGの軽合金1本スタンドは非常によかった。 

①表紙

②4頁

③ワイエム号を拡大

④X型と二重型フレーム

⑤ローソクランプ

⑥ヘッドランプ掛け

⑦両立スタンド

⑧帝国輪商案内 明治44年
国会図書館所蔵資料