大正4年のアルバム④
このアルバムの中で仙台の双輪商会とともに気になったのが下の写真である。
写真のキャプションに、仙台市人力車営業取締
伊東諸車製造販売所
店主 伊東喜三郎
本店 仙台市穀町十三番地
支店 仙台市南町通り仙台座同角
営業種目 最新式人力車 空気ゴム車輪
各国自転車 附属品一式
とある。
自転車を販売しているので当時の自転車商名鑑、大正5年発行の日本輪界名鑑及び大正15年発行の日本輪界興信名鑑を調べたが、伊東商店の記載はなかった。東京に伊藤人力車製造商会という会社もあっが伊東と伊藤違いで関係がない。
その後の人力車販売の低迷衰退から廃業したのであろうか。大正5年には出ていると思ったのだが。それともあくまでも販売の主流は人力車であり自転車商名鑑には登録されていないようだ。
写真の説明を少々、
先ず店舗の軒上の大きな看板が目立つ、自転車、人力車、荷車の絵も描かれていて楽しい。
写真の左側から見ると、最初に人力車の梱包された車輪がある。その次は使用人と自転車、その横に小僧さん、その後ろにも人力車の車輪が積んである全部で6セットの車輪のようだ。小僧さんの右側に自転車置台が見える。その上に伊東支店とカネにキのマークで、おそらく喜三郎のキをデザインしたものに違いない。人力車の間には子供用の丸ハンドルの付いた四輪車も2台見える。これも伊東製であるはずだ。人物は全部で幼児も入れて12人、中央の羽織袴姿の人物が若旦那か。家族と職人が総出といった感じである。喜三郎氏もいるはずだが、おそらく右端の人物と思われる。この店は支店だが、まるで本店のような立派な建屋である。
人力車諸車類製造販売所伊東支店
店主伊東喜三郎氏及び家族と店員
全体の写真
人力車諸車類製造販売所伊東支店
仙台アルバム 白崎民輔 編 123頁
白崎写真所 大正4年