自転車関係資料⑱
この資料は宮澤商報で、1915年(大正4)3月1日発行第108号である。
これも気になった部分のみ掲載する。
①毎月発行されていた商報で大正4年で108号ということは、明治39年から発行されていたことになる。いつまで続いたか定かではないが、それなりに繁盛していたことが分かる。表紙は3月号なので梅か桜の花と車輪のデザインである。
宮澤商会、東京市下谷区竹町
②大正4年式オリバー号、これにも当時としては珍しい風切りが付いている。よく見るとオリバーと書いてある。やはりスタンドと荷台はついていない。
③ブリッジ型の二重フレームが特徴。
④マスト号、ハンドルに注目した。大正期にはこのようなアップハンドルが一時期流行ったようで、時々当時の写真に登場している。マスト号は船をイメージしたのか、トレードマークもスクリューに車輪である。
⑤自転車用油と油差し、油差しの3種の形状に注目した。
⑥以前にも荷掛けは紹介している。今回は背負網袋に注目した。
通気性が大いにあり、現在でも使用できそうだ。今でも網ではないが似たようなものを時々見かける。私も自転車用のサコッシュを以前使ったことがあるが、すぐに背中から前の方にずれてきて不便を感じたことがある。ツールなどでは一時的な補給食入れに使用されている。
このサコッシュ、最近ではあまり見なくなった。私はカンパのデザインなど3種類のサコッシュを使用していた。
⑦はランプ関係、下に参考までに磯村産業の自転車用アセチレンランプも載せる。
ミラーとミルトンの自転車用アセチレンランプ、火口(ほくち)小物にも注目。
ランプ掛け用の金具部分も注目したい。
⑧ミラーとオリバーのランプ、交換用の凸面レンズにも注目、自転車が転倒した際によくこのレンズ面が破損したり、ひび割れを起こした。ランプ掛け小物の意匠にもいろいの物があった。ラレーなどは例の鳥のマークのデザイン。
⑨は針金製のトークリップに注目した。ストラップも兼ねている。ただし長時間の使用では爪先や足の甲の辺りが痛くなるよな気がする。これもトークリップの発展過程における歴史的な一つである。
因みに私は以前クリストフ・トークリップ(Christophe Toe Clip Mサイズ)とアルフレッド・ビンダ(Alfredo Binda)のストラップ及び三ヶ島などを使用していた。
⑩101頁の後輪スタンドと置台に注目、下の1台用の自転車置台は贅沢な気もする。修理などの作業用だと不安定のようだ。
⑪ワイヤー式後輪ブレーキに注目、当時は前後ロッド式ブレーキが主流であった。現在のもに通じる発展的パーツの一つと言える。ワイヤーはむき出しか、それともビニールのような被覆があったのか、トップチューブに3か所も留め金があるところをみると材質は不明だが今のように何かで被覆されていたと思われる。ゴムとセルロイドの素材はあったのだが、はたしてなにか。
⑫⑬⑭磯村工業所(磯村産業)は1910年(明治43)の創業と伝えられている。
中央のマークは家紋の三階菱である。確か三菱の創業者である岩崎家も三階菱である。
甲斐源氏武田氏の一族である小笠原氏がこの家紋。
⑮ランプ掛け用の取付金具