2021年6月18日金曜日

大正期の絵葉書②

 大正期の絵葉書②

下の写真は大正期の絵葉書である。

この絵葉書の撮影年を絞ってみたいと思う。

キーワードは先ず、藩祖祭である。盛大に挙行されているところを見ると、余程大がかりなイベントであったことがこの写真から伺える。

大正6年に初代藩主であった蜂須賀 小六(正勝)の子、蜂須賀 家政(はちすか いえまさ)の没後280年を記念して藩祖祭が盛大に挙行された。その祭りの余興の一つとして徳島公園西の丸に於いて自転車競争大会も開催されたのである。

「蓬庵公奉祭会誌」長尾覚 著 大正6年11月10日発行によると、その44頁に、
5月28日午前より 公園内運動場にて自転車競走

とある。
したがってこの年の藩祖祭であれば、大正6年5月28日に撮影されたことになる。
さらにこの写真をよく見るとアンデス号やラーヂ号といった幟も見える。

当時、ラーヂ号は大日本自転車株式会社の国産ラーヂ号で、アンデス号は神戸の㈱林屋商店(神戸市栄町六)が販売した銘柄車である。他に林屋ではカープ号も販売していた。

写真をよく見るとスタート直前のようで、審判員や補助者もいる。選手は4人、おそらく自転車はアンデスとラーヂに違いない。アンデスから奥の4番目の幟は不鮮明で良く分からないが、ラーヂかカープとも読めそうである。観客の中には日差しが強いせいか蝙蝠傘をさして観戦している。熱気と歓声がいまにも伝わってくるようである。

徳島公園西の丸に於ける自転車競争大会

蓬庵公奉祭会誌 長尾覚 著
大正6年11月10日発行
国会図書館所蔵資料

日本輪界興信名鑑 大正14年版
国会図書館所蔵資料