2021年9月18日土曜日

ノーリツ号

 ノーリツ号

下の写真は昭和22年ごろの岡本ノーリツ号である。三菱十字号同様にフレームはジュラルミン製、戦後間もない時期に発売されたもの。このノーリツ号を入手してからも既に40年ほどになる。

軒下に長年置いているので劣化が著しい。スチールの部分は見ての通り赤さびだらけ。おそらくフレーム部分もかなり劣化が進んでいるだろう。

入手してから数回は試乗したが、フォークの強度に不安があり、それ以来まったく乗っていない。販売の当初からこのフォークの強度不足は問題で、折損事故も起きたとも聞いている。発売から何年間続いたのか分からないが数年で販売を停止したはずである。

このノーリツ号は浜松に腕のいい職人がいて、その店で組み立ててもらったもの。

以下がその辺の経緯である。

その腕のいい職人さんとは小栗自転車店の店主であった小栗幸平さんで、きっかけはラレーロードスターに付いていたスターメイ・アーチャーの内装ハブが故障して、どこの店に行っても修理ができないと断られていたが、あるバイク屋さんを訪ねたところ、腕のいい自転車店を知っていて、浜松市鴨江の小栗自転車店を紹介してくれた。

或日、小栗自転車店を尋ねた。店主は小栗幸平さんと言って、この時すでに83歳のご高齢であった。まず驚いたことは店の佇まいで、一般の自転車ショップのイメージからまったくかけ離れた店であった。店内に新品の自転車が置かれていないこと、床は土間であった。天井から古いフレームが何本も下がっていたり、中古の自転車が数台置いてあった程度。修理用の大きな作業台には万力があり、土間には確かフイゴのようなものもあった。昔の鍛冶屋のことは知らないが、たぶんそのイメージに近い店である。

小栗さんは釣りが趣味で、釣から帰ってきたところで、スターメイ・アーチャーの内装ハブの修理を依頼をした。早速、快諾をいただき、その日はラレー自転車を預けて帰る。

数日後に、店へ行ったところ、既に修理は終わっていて、完璧に直っていた。これがきっかけで小栗さんと親しくなり、中古車だが2台この店で購入した。1台は昭和22年製の岡本ノーリツ号で、これは天井から下がっていたフレームに適当な部品を組み合わせて作っていただいた。もう1台はこれも昭和20年頃のフレームで、形状はスチール製の十字号のような形であった。

奥がその岡本ノーリツ号

ヘッド部のリベット留め

 
クランクアームに
OKAMOTO CYCLE CO とある

錆は酷いがチェーンホイールも岡本のオリジナル

強度に不安があったフロントフォーク部分

チェーンステー後部

上部シートチューブまわりのようす