2021年9月6日月曜日

鳥山氏とモハン号

 鳥山氏とモハン号

先日来、三人の知人から鳥山新一氏の訃報の連絡が入った。
1919年のお生まれであるから、2021年で102歳という御長命であった。

鳥山氏の数ある書籍の中で、最初に読んだのは「すばらしい自転車」日本放送出版協会 昭和50年発行である。
この本の中で一番記憶に残っているのが、鳥山氏が少年の頃に軽井沢で乗った鈴木商会のモハン号である。既にこのモハン号についてはこのブログでも何回か紹介している。

以下がそのブログの記事、(一部修正加筆)

 鳥山新一氏の書いた本や雑誌の記事にあるモハン号の2点の写真を拡大鏡でよく見ると、同じものではないことが分かる。モハン号の特徴としては、チェーンホイールの伝達構造と折畳小径車であること。特にこのチェーンホイールの位置は若干ずれているが左右それぞれに付いている。細部の構造は写真でよく分からないが、ギヤ比による変速か、或はギヤ比の拡張のために左右にそれぞれ付いているのではないかと思われる。
 この仕組みなどは書いてないが、雑誌「工芸ニュース」所収の文中に簡単であるが次のようにある。

唯戦後一時騒がれた折畳式の自転車は昭和8年ごろ前輪14in、後輪16inのモハン号(図8)が鈴木商会から市販され、後に改良型をだしたが筆者も長年2種類共使用した。

 どうやらモハン号のⅡ型とその改良型の2種類を鳥山氏は所有していたようで、旧型(Ⅰ型)は婦人車をそのまま小さくした型、と図8の注書きにある。(全部で3種類か)
 
 昭和8年から昭和9年頃にかけて鈴木商会で製作されたようで、鈴木商会の履歴や所在地はいまのところ不明である。

次もブログの記事、

1936年頃にモハン号が登場している。この自転車を初めて見たのは、本に掲載されていた小さな不鮮明の写真であった。鳥山新一著「すばらしい自転車」(日本放送出版協会版、1975年01月発行)にある。このモハン号は、鳥山さんが少年の頃に乗っていたもの。

 1993年(平成5)5月9日に東京上野公園で行われた第7回クラシック自転車コンテスト(梶原利夫氏主催)に現れた黒塗りの小径車がそのモハン号であった。当初、駆動部の珍しさとユニークな形状が目を引いたが、メーカー名等まったく分からなかった。フレームに特許番号のようなものが微かに見えたが、それ以上のことは分からない。後日、それがモハン号であることが判明したが、残念ながらその自転車の所有者名をメモすることと肝心な写真を撮ることを忘れてしまった。忘れたというよりも、モハン号であることも知らなかったので、軽く考えたのである。以来、いまだにモハン号の現物は見ていない。あの自転車はどうなったのであろうか。

ミニ・サイクルは鳥山氏が命名(以下は「すばらしい自転車」より)

ミニ・サイクルは1963年にイギリスで発表されたモールトンが初めてのものだと思われていますが、ほんとうは、日本で第二次大戦前に考案されたのです。
 第31図は私が昭和9年から愛用していたその車で、私が自転車に興味を持った動機になったモハン号です。
 ミニ・サイクルという名前は昭和43年に私がつけたもので、それまではサイクル・ショウ
には出品されていても、市中にほとんど見かけなかったのですが、44年以降はぐんぐん人気が出てきました。分解式やおりたたみ式もあり、自動車のトランクに入れて運べる便利な種類もあります。今では全生産量の約20パーセントにも達しています。重量は意外に重く、18キログラムです。

とあり、コンパクト自転車、フォールディング自転車、折り畳み自転車、ミニ・サイクルは日本が開発したと述べている。

鳥山氏が自転車に興味を持ったきっかけは、少年の頃に乗ったこのモハン号であった。

第31図
「すばらしい自転車」61頁

図8
「工芸ニュース」5号 VOL.23
昭和30年5月5日発行

鳥山新一氏の本
その一部

鳥山新一氏のサイン