ホビーホース関連
「THE ANALECTIC MAGAZINE」 第13巻 1819年1月~6月
註、『論説雑誌(アナレクティック・マガジン)』(1813年-1820年)は 、フィラデルフィア でモーゼス・トーマスによって出版された。
第15、ヴェロシペードまたはドライジーネ。「ロンドンの新聞より」
この独創的なマシンは、カール・フォン・ドライス男爵、王室の森林所有者により発明された。
バーデン大公、発明者によるその性質と特性の説明は、
1.整備された道路では、活動的な人間が歩くのと同じ速さで坂を登る。
2. 平坦地では、大雨の後でも時速6~7マイルで進み、これは急使と同じくらいの速さである。
3. 道路が乾燥して固まっている場合は時速8~9マイルで走る。これは馬の速さに相当する。
4. 下り坂では、全速力で走る馬に匹敵する。
その理論は、人間の歩行動作に車輪を応用することに基づいている。
動力の節約に関して、この発明は非常に古い馬車の発明に例えることができる。馬が馬車を曳くと、馬車と荷物の両方を、背中に一人で荷物を運ぶよりもはるかに簡単に運ぶことがでる。したがって、人はヴェロシペードを使えば、全重量を足で支えるよりも楽に体を動かせる。同様に、ヴェロシペードは、たった一つの踏み跡、つまり轍を踏むだけで、常に道路の最良の部分を進むことができることも疑いない。固い道では、ヴェロシペードの速さは熟練したスキーヤーのそれに似ている。なぜなら、この二つの動作の原理は同じだからである。実際、乗り手が動かない間にも、足が動いている時と同じ速さで、かなりの距離を走る。そして下り坂では、指のゆっくりとした動きだけで操作されるため、馬に付随する危険にさらされることなく、長い距離を走って馬に勝つことができ、足で瞬時に止めることができる。
2つの車輪が前後に配置され、止まり木で接続されている。止まり木にはサドルが置かれ、ライダーの座席となる。前輪は軸を中心に回転する。前方のクッションに前腕を置き、これにより装置とライダーのバランスが保たれる。
操作方法。図に示されている姿勢になり、肘を伸ばし、体を少し前に傾け、腕をクッションに置き、上昇しているように見える側を軽く押すことでバランスを保つ。舵(そう呼べるのであれば)は両手で持ち、両手はクッションに置かず、完全に自由に使えるようにする。これは、腕がマシンのバランス維持に不可欠であるのと同じくらい、マシンの操作に不可欠だからである。(注意を払えば、すぐに十分な器用さが身に付く)。次に、足を軽く地面につけ、最初はまっすぐな直線で、長くゆっくりとした動きをする。つま先が外側に向くと、かかとが後輪に接触してしまうので注意する。ヴェロシペードのバランスと方向を器用に把握できるようになって初めて、足の動きを速くしたり、高速走行中に足を上げたままにしたりする。サドルとクッションは、好みに応じて上下に調整でき、さまざまな人の身長に合わせることができる。
発明者は、2人を乗せ、交互に、または両方で推進するマシンの製作も考えている。また、3つまたは4つの車輪と女性用の座席も備え、或いは傘を付けた仕様や順風時には帆を利用することも検討している。
このマシンは機械力学における要望を満たしているように見える。これまでの試みはすべて、動力は速度を犠牲にしてのみ得られるという既知の原理に基づいて失敗した。しかし、推進原理は他のものとは全く異なる。マシン本体からではなく、外部で作用する抵抗、つまり自然に最も適合した方法、地面に対する足の抵抗から得られる。マシン本体はいわば2つのスケートによって支えられ、推進力は両足の交互の動きによって与えられる。
このマシンはドイツ語で「ドライス・ラウフマシン」、フランス語で「ドライジーネ」と呼ばれている。ドライス男爵の指揮の下、数年前に馬なしで走行する馬車が作られたが、操作には2人の召使いが必要で、非常に複雑な職人技に加え、重くて高価だったため、男爵はある程度の完成度に達した後、この設計を完全に放棄し、現在のマシンに切り替えた。十分に訓練された人は、平坦で良好な地面であれば時速8、9マイル、さらには10マイルも走行できると言われている。
『アナレクティック・マガジン』
第13巻 1819年1月~6月
以下同じ
517頁
518頁
519頁
515頁
第15、ヴェロシペードまたはドライジーネ
「ロンドンの新聞より」